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「宮崎駿の後は誰が夏の長編アニメを公開するかという“ポスト・ジブリ・ウォー”が起きている」——昨今のジブリ事情を解剖してみた

 元スタジオジブリ、現スタジオポノックの米林宏昌監督による期待の新作『メアリと魔女の花』が公開中です。

 これを受けて、サブカル評論家のDr.マクガイヤー氏とアシスタントの那瀬ひとみ氏が、宮崎駿引退以降のスタジオジブリの後継者問題について解説をします。

 「宮崎駿の後、誰が夏の長編アニメを公開するかという“ポスト・ジブリ・ウォー”が起きている」と言うマクガイヤー氏。なぜスタジオジブリは後継者を育てられないのか、そんな中でなぜ米林監督は生き残る事ができたのか、徹底的に語ります。

左からDr.マクガイヤー氏、那瀬ひとみ氏

夏のシネコンでは戦争が繰り広げられている

マクガイヤー:
 夏のシネコンでは戦争が繰り広げられているんです。例えば2015年、『バケモノの子』が公開されました。去年は『君の名は。』とか『聲の形』とかが公開されて、『君の名は。』は大ヒットしましたよね? 今年『メアリと魔女の花』も公開されていますが、この『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

那瀬:
 あれですよね。『化物語』の監督さんがやるシャフトのアニメですね。

マクガイヤー:
 これも、東宝が公開するとか言って、このポスターとかすごいですよね? いかにも『君の名は。』を去年観た人は、シネコンに来てこれを観てくれみたいなポスターですよね。

マクガイヤー:
 しかも、みんな非声優専業俳優。ジブリが開発した手法でもありますよね。俳優を主演キャストに持ってきて、今までの声優とちょっと違うんで新しい味もあるし、普通に上手い人を持ってきて、プロモーションに俳優を持ってくるとスポーツ新聞とかテレビとかも取り上げてくれて、アホみたいな客がどかどか入ってくるっていう手法です(笑)。

マクガイヤー:
 2014年に『思い出のマーニー』が公開されて、その前に、『風立ちぬ』があったんですよ。つまりこれは「ポスト・ジブリ・ウォー」ということですよ。宮崎駿の後、誰が劇場で夏の長編アニメを公開するのかという座を争ってるわけですね。

 シネコンがあちこちにあるじゃないですか。それでも映画を観ない人は全然観ないんですよ。ただし、それでも1年に1、2本観るという人がいて、そういう人が観に行く映画がジブリだったわけです。

 しかもそれは家族で観に行けるわけですね。家族なので、子供が行くし、お父さんお母さんも行くと、もう2倍、4倍の世界ですよ。必ずジブリの映画はテレビ局の応援もあって、年間ランキングの1位とか2位を占めていた訳です。その座をみんな争っている訳ですよ。

マクガイヤー: 
 『君の名は。』は去年はガッツリその座を占めました。ただ、あくまでも興行収入の視点で、細田守監督、宮崎駿監督に「ポスト宮崎駿、ポストジブリとか言われていますけど、どうですか」 みたいなことを聞くと、みんな苦笑する(笑)。

 「いやいや、私なんて。宮崎さんの後釜は無理ですよ」みんな言うんです。細田守も、新海誠も、庵野秀明も、去年『この世界の片隅に』をヒットさせた片渕須直監督もね。

那瀬:
 ジブリ出身の監督さんに、ライター仕事でお話を伺ったことがあるんですけど、「ジブリのご出身ですよね?」と言うと、苦笑されまして(笑)。

マクガイヤー:
 そうでしょ!

那瀬:
 こっちの導入として使いたい気持ちもわかるでしょ、というのが辛いな。

マクガイヤー:
 ジブリはブランドだからね。

那瀬:
 お互い辛いんですよ。

マクガイヤー:
 大丈夫です。それは、どんどん聞いた方がいいです。というのは、もっと辛すぎる二人がいるんです。この世の中には、この質問に対して、苦笑じゃなくて、ちょっと居住まいを正して、質問に答えなきゃいけない人が、二人だけいます。

 それが宮崎吾朗と米林宏昌です。この二人は、宮崎駿とかポストジブリの後継者なんでしょって言われた時に、苦笑できないんです。これがジブリの呪いの十字架なんですよ。

マクガイヤー:
 この二人は、要するに、遺伝子の後継者であり、縁、ミームの後継者でもあるわけです。だって別にもっと早い時期に米林監督は、ジブリの外に出ても良かったわけですから。実際に苦笑しても全然大丈夫なのは、この4人、細田守、新海誠、庵野秀明、片渕須直が作っているのは、もうジブリとは全然違うものじゃないですか。

那瀬:
 そうですね。ジブリっぽさはない。

マクガイヤー:
 自分の作っているものが、宮崎駿とかスタジオジブリのものとは、全然違うし、でも、自分のアニメを売るためには、日テレさんと組ませてもらいますけどねっ、っていうやつですね。宮崎吾朗と米林宏昌は、ちょっと笑えない話になるんです。というのは、この二人は、スタジオジブリでアニメの作り方を学んできて、スタジオジブリの作り方でしか、アニメを作れないからなんですね。

 やっぱり二人とも遺伝子というか、縁というか、スタジオジブリ的なものを受け継いでしまっているので、自分の作るものが宮崎駿とスタジオジブリにどうしても重なってしまいがちになるわけですよ。

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