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『HUNTER×HUNTER』名シーンをふり返ってみた。“ ハンター試験編 ”美食ハンター「二次試験、私のメニューは スシよ!!」

 『HUNTER×HUNTER』の最新刊(34巻)が6月26日に発売されることが明らかになった。

 上記の発表を受け岡田斗司夫氏が「発売まで待ちきれない!」と自身の番組『岡田斗司夫ゼミ』にて、『HUNTER×HUNTER』をシーズン毎に分け、徹底的に考察する企画がスタート。

 5月21日放送分では、「HUNTER×HUNTER」の序盤「ハンター試験編」について、岡田斗司夫が語ります。


画像は『HUNTER×HUNTER 第1巻』、Amazonより

ハンター試験は“普通のバトルを描きたくない意思”が現れている

岡田:
 「ハンター試験編」の面白さっていうのは、テストの多様さにあるんだよね。一応5次試験まであるんだけど、それだけじゃなくて、まずハンター試験の会場に行くまでのテストとかね、ものすごい多様性に富んでるんだよ。

 皆が最初に期待する「戦う、戦ってどっちが強いかで決着つける」というのが、全くない! 本当にないまま、ハンター試験が終わってしまう。でも見た感じ盛り上がりはあるという、面白い作り方をしてるんだ。

岡田:
 じゃあまず、前哨戦、「会場に行けない」だよね。第1話旅立ちの日、第2話嵐の出会い、第3話究極の選択、第4話魔獣凶狸狐(キリコ)、第5話第1次試験開始ということで、ハンター会場に行くだけで、4話か5話費やしてるんだよ。それでそれぞれのクリアの形が違う。

 例えば第1話の旅立ちの日というやつは、育ての親のミトさんという人がハンターになるのを反対してて……というやつなんだ。それでミトさんが課したミッション「大きい魚を釣り上げてこい」というのをクリアしたときに、回想シーンで「なぜハンターになりたいか」が語られる。

 これも普通の回想シーンではなくて、ゴンの回想シーンの中で、ゴンが憧れているカイトさんという人が出てきて、そのカイトさんの回想シーンの中で、ジンというゴンのお父さんの後姿が出てくる。関係代名詞が2重3重構造になっているような、変な構造で作られているんだけど、ストーリー自体はスピーディー。

 2話でレオリオとクラピカという後になっても出てくるメインキャラクターの2人が出てくる。海が荒れて、船長が意地悪言って、「お前らがハンターになりたい理由はなんだ?」と尋ねる。これも設問型のクエストになっている。

 その質問にちゃんと答えを出しながら、実はゴンが嵐の中で、海に落ちそうになった人を助けてあげるという形で対立が解消される。戦闘がありそうなんだけどもうまく回避されて、それが必ずしもはぐらかされた感じがしない、というお話になってるんだ。

岡田:
 3話で港にやっと着いて、さあどうやって会場に行ける手がかりの一本杉までいけるだろうか、ということで、ドキドキ2択クイズというのを出されるんだよね。

 ここから延々と「2択と見せかけて3択の究極の2択クイズ」というのが出てくる。それで悩んでると、アンチテーゼがあって、ジンテーゼがくるという……ゴンが3つ目の「それを乗り越える型の回答」を出して乗り越えるっていうやつだよね。だから1番最初のハンター会場に行くクエストっていうのは、すべてゴンが人間力で解決しているものばかり。

 レオリオとクラピカが対立している時に、ゴンだけが嵐で吹っ飛ばされた人のところに、バーッと行くとか、そういう人間的魅力で全部解決する。

 次の魔獣凶狸狐(キリコ)もそうだよね、凶狸狐もゴンだけが魔獣を、魔獣として見るんじゃなくて、1人1人のキャラクターとして見てるから見分けがついたということで、凶狸狐の機嫌がよくなって、手伝ってくれるとかね。こういう1番最初の前哨戦が「会場に行けない」というだけで、普通の漫画でやるようなアイデアというのも、ザクザク出してる。

岡田:
 次の第2クエストは、単なる障害物競走なんだよ。この受験生311名、が単にサトツさんという人に後ろの人がついていくだけなんだけど、ここへ来るまでの段階でもうみんな疲れ果ててるんだよね。6時間くらいこの人の後を追いかけて走っていくというマラソンをやって、その後ものすごい上り坂の階段を登らされて、危険な平原の中をついていく。この辺りからお話はスローダウンしていって、レオリオ、クラピカ、やっと出てきたヒソカ、キルアのキャラの掘り下げが始まる。

 さっきまでの「会場に行く」というクエストはクエスト自体が複雑で面白い。ところが今回はこのサトツさんの後に遅れないようについていくというクエストが単純な分、ストーリーが弱くなって、その代わりにキャラの掘り下げをする。10話までの緩急の作り方が上手い。5話までをストーリー主導であくまでも子供たちにわかるようにクエストを1話完結で見せていた。

 10話までの展開は、あらゆる物語作家のお手本となるような、本当にうまい作り方をしてるんだ。第6話1次試験開始パート2で、レオリオの頑張りをみせて、「実はトンパはすごい」という伏線もある。トンパは他のハンター試験に出てくる奴らをいじめたり、心理戦で追い込んでやめさせる奴なんだけど、俺はトンパが好きで、何で好きかっていうと、さらっと出てくるセリフで「ハンター試験申込回数35回最多記録」って書いてあるんだ(笑)。

岡田:
 ちょっと待てよ、トンパって今45歳だからさ、10歳の頃からハンター試験に出ているってことは、ゴンより若いんだよ。子供の頃から、ハンター試験に出てて、生き残ってるから実はこいつ凄いんだよ。後ろの方になってきて、なんでこいつが生き残れたのかがわかる。

 やっぱり冨樫漫画の中では、どれくらい状況が読めて、裏が読めるのかっていう頭脳戦が重要であるというのが、後でわかってくる。

 その後ずーっと走って行くだけの話しだから、なんでレオリオはハンターになりたかったのか、なんでクラピカはハンターになりたかったのか、なんでキルアがハンターになりたかったのか、それぞれの自分語りが、後ろを走って行く中で続いていく。

 ヌメール湿原に出てからは、湿原の中の生物が最大の敵と思わせて、ヒソカという未だにわけのわからないキャラクターが出てくる。いわゆるジョーカーみたいな感じで出てくるキャラクターなんだけども、そいつがいきなり周りの人間を殺しだす。

 『HUNTER×HUNTER』ってこの8話くらいまで、人は死なないんだよね。追い込まれたような感じであっても、全然人が死なないような感じだったのが、8話くらいから単にハンター試験に参加しただけの罪もない人が、ガンガン死んでいくんだよ。

 9話の霧の中の攻防でヒソカの行動原理を読者に考えさせるようになる。つまりヒソカが「俺がハンター試験の試験官をやってやるよ」って周りのキャラクターを殺した時に、「なんでこいつはこんな行動するんだろう」と、読者が考えるように仕向けてくる。

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