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「『HUNTER×HUNTER』は漫画界が生み出した奇跡だよ」どんなに待たされても、許してしまう理由を岡田斗司夫が語る

ゴンとカイトのシーンから見る冨樫さんの力量

岡田:
 ゴンがカイトからいろいろ教えてもらうシーンなんだけども、主人公のゴンというのはお父さんのジンに会うというのが目的なんだよな

岡田:
 このカイトにジンの事をいろいろ教えられ、「彼は俺の知る限り最高のハンターだ」「ジンさんに会わなきゃ俺は今ごろのたれ死んでいた。」「ジンを探し当てる事はどんな狩りより難しい」と言われるんだけど、こういうのは【聞いたか坊主】と言うんだ。

 【聞いたか坊主】というのは歌舞伎で幕間に小坊主が何人か出てきて、「聞いたか聞いたか」「聞いたぞ聞いたぞ」、「○○だそうだ。」「○○なのか。」「四十七士が討入りするそうだ。」「なんとすごいことだ。」みたいに、設定を説明的にダーッと喋ってくれる。これはよく漫画でもドラマでも使うよね。

 これで見ている人に、ジンの凄さ、ゴンのお父さんがいかに凄いかという事を伝えるんだ。「ジンさんに認めてもらうための最終試験が、彼を探し当てることなのさ。これがどんな狩りより難しい。」「彼は俺の知る限り最高のハンターだ。」これねセリフとして大したことないんだよ。さらっと読める。

 ところがそれを家に帰ってからゴンが心の中で復誦、繰り返すシーンだよな。ゴンがお父さんの写真を見る。そうしたら、「最終試験は彼を探し当てること。これがどんな狩りより難しい。彼は最高のハンターだ。」ということで、このリフレイン、ジンの写真のクローズアップを徐々に入れて、目の中の光にゆっくりとカメラがいく。

岡田:
 このゴンの視線の方向と、このジンが写真の中から、ゴンを見つめ返していることがわかるんだよね。この中で、徐々にさっきはたいしたことのなかったカイトのセリフがすごい良いセリフみたいに生きてくる。「彼は最高のハンターだ。」大したセリフじゃないんだよ。でもこの繰り返しの中で言われると、「彼は最高のハンターだ。」というのがめちゃくちゃ格好良く聴こえてくるんだよな。

 だからいいセリフっていうのは、いいセリフを作るんじゃないんだよ。その前のシーンまでの大したことのないセリフっていうのをモンタージュして映像的に並べることによって、ちゃんといいセリフとして作るという、この漫画を使いこなす冨樫の力量の凄さだよね他の作家は絶対にこんなことをしないんだよ。

 俺は本当に『HUNTER×HUNTER』にどんなに待たされても、どんなに適当な画でも許すって言ってるのは、漫画界が生み出した奇跡のようなやつだと思ってるから。アハハ。もうちょっと好きにやらせてみようよ。と思って、こんなことできるやつってホントにいないんだよな。

 と言うことで、次回からやる『HUNTER×HUNTER』を1シーズンごとに解説していくという企画のサンプルなんだけども、1巻の後半でようやっとハンター試験が始まって、キルアとヒソカが登場して、これで大体キャラクターが全部出てくるわけだよね。次回は、キルアとヒソカの分析も話してみようと思います。いいね、漫画の話は、アハハ。

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