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ボカロP・ゲームクリエイター・小説家etc…ネットで活躍するクリエイターの“著作権使用料の回収方法”について専門家が解説

NexToneコンテンツID代行登録サービス

伊藤:
 次はNexToneの『コンテンツID』の代行登録サービスについてご説明致します。先程の図と同じような流れになりますが、元々権利者の方が居ますが、代わりにNexToneがコンテンツの登録であるとか、広告の管理設定を代行するという業務を行っています。

伊藤:
 4月現在で約2万曲程ですが、権利者の方に代わって原盤の登録管理を行っています。ジャンルとしては幅広く、J-POPもアニメも、一部ボーカロイド系、同人系の物も最近はスタートしております。後、現状法人の権利者の方に限らせて頂いているんですが、契約を結んで我々が随時YouTubeにアップロードしていく。

 当然これは、マネタイズをするという事が大前提ではありますが、冒頭でも申し上げた通り、当然、中には気に食わない変な映像があるという事があった場合には、取り下げを依頼したりという業務だったり、または、成り済ましが上げている物に関して、取り下げを依頼するといったようなパトロール的な業務も行っています。この辺りは、去年(超会議で)お話をした後、仁平さんとも色々とお話をして、取り組みもスタートしたという所ですね。

仁平:
 JNCAでも、このサービスをNexToneさんと契約締結させて頂いていて、JNCAのクリエイターの原盤であれば、YouTubeコンテンツID代行サービスを受けて頂くという流れができました。まだ実験的なんで、主な実装としては、今日の最初に発言をしてくれたEasyPopさん、そしてかにみそさんの2人なんですけど、ここから順次増やしていきたいなという風に思っています。これちょっと面白いですよね。

伊藤:
 どうですか? 実際にやってみて、感覚というのは如何でしたか?

仁平:
 お金の話になっちゃうんで、いやらしいんですけど、ビックリしました(笑)。EasyPopさんも、かにみそさんも、特に作業があった訳ではなく、CDを預けてくれただけですよね。それを我々の方で纏めて、NexToneさんにお渡ししただけです。その中で、入って来る金額というのが、結構大きかったので、例えばEasyPopさんにしてもかにみそさんにしても、次のコンテンツを作る上での、良いきっかけになったと思います。

 楽曲の種類によって、『コンテンツID』で一杯引っ掛かる物と、そうじゃない物があるんだな、という事も、ちょっと分かって。EasyPopさん本人が居ないので、居ない所で言うのもあれなんですけど、彼の楽曲は、『踊ってみた。』での使用が多いんですよ。なので、EasyPopさんの原盤を使っている動画というのは多いです。本日、せら(みかる)さんが来た時に、「ニコニコ動画の場合は元々2次使用は大前提、どんどん使ってください」という風に、仰ってくれたんですけど、まさにニコニコ動画風味な動画の方が、『コンテンツID』に一杯引っ掛かる。

 つまり、2次創作が一杯産まれている物の方が、一杯引っ掛かる、という事です。ニコニコ動画の2次創作は、歌ってみたりしても、原盤のカラオケをそのまま使って、そこに声だけ入れていたりするじゃないですか? それは、引っ掛かるんですよね。

伊藤:
 そうですね、そこは引っ掛かる確率が高い。

かにみそP:
 カラオケ音源で引っ掛かるという事なんですか?

伊藤:
 歌なしで、という事ですね?

かにみそP:
 そうです。カラオケ版を別にアップロードしていて、それを使って頂いて、『歌ってみた。』動画を作って頂いている。

伊藤:
 カラオケ音源を入れて置けば(引っ掛かる)。

かにみそP:
 あ、入れて置けばという感じなんですね。

伊藤:
 (マッチングが)当たります。

仁平:
 そういうやり方が出来るという事だよね。

伊藤:
 元の音源から歌を除いて、カラオケ音源として使っている場合には、当たる確率は高いです。

かにみそP:
 高いですね。

仁平:
 かにみそさんの場合、それをやりましょう。例えば、ギターの弾き語りとかはマッチングしないんですよ。でも、『踊ってみた。』の場合は、100%原盤を使うじゃないですか? ほぼ100%なので『踊ってみた。』で展開している人は、絶対に『コンテンツID』は登録すべきだなと思いました。やっぱり『踊ってみた。』系の人は、絶対に『コンテンツID』をやるべきだと思います。

伊藤:
 そうですね。ここで『コンテンツID』を使って、ちゃんとフィンガープリント化をしておくことによって、広告収益が原盤権者に入るだけではなく、著作権の報告の精度も上がります。なので著作権者の方々に関しても、より正しい分配が行われるという事になりますので、mathruさんの様に、原盤も持たれて著作権も持たれているという方に関しては、2度美味しい。

仁平:
 そうしたらもう、ボカロPさんは、とりあえず、皆やった方が良いですね。

伊藤: 
 そうですね。

仁平:
 メジャーレーベルの場合は、メジャーレーベルで纏めてやってくれるじゃないですか? でもボカロPさんの場合は、自分たちでやるしかない。でも、YouTubeさんは個人で持って行っても、なかなかやってくれない。その場合、NexToneさんがそういう意味ではベストチョイスなんだけど、今現状、NexToneさんも、“個人 to NexTone”というのは、やってくれないんですよね?

伊藤:
 そうですね、現状は。申し訳ないです。

仁平:
 という事はもう、自ずとJNCAが頑張れる。つまり、僕らが頑張れる意味っていうのが出てきて、僕らが、もっともっと頑張んなきゃいけないのかな。という所だと思いますね。

伊藤:
 はい、是非お願いします。

仁平:
 頑張ります。

海外における著作権使用料の回収方法

伊藤:
 次最後になりますが、海外管理について、海外において発生した著作権使用料を回収するには、どうしたら良いか。という所になります。

仁平:
 これ、かにみそさんぜひ知りたいよね?

かにみそP:
 そうですね、海外は結構気になります。

伊藤:
 海外における著作権使用料を回収する方法。さっきJASRACさんもお話されたんですかね?

仁平:
 そうですね、JASRACさんの場合は「JASRACメンバーになりましょう」というお話を頂きました。

伊藤:
 大きく分けて『JASRACさん経由のパターン』と、『サブパブリッシャー経由』という形の2つのパターンがあります。1番のJASRACさん経由の部分については、私が説明するまでもないとは思います。先程もお話があったと思いますが、あくまで概略になりますが、海外の利用者から、海外の著作権管理団体に入ってきた物が相互管理契約を結んでいるJASRACさんの方に入って来て、ここから音楽出版社、そして作家さん、JASRACメンバーになっている方に関しては直接分配が行く。

仁平:
 そうですね、こういうお話をして頂きました。

伊藤:
 基本的にはこの流れになっています。演奏権に関しては直送という形になります。一方で『サブパブリッシャー経由』ですが、この『サブパブリッシャー』ってなんだ? って言うと、日本語で『下請け音楽出版社』と言われます。日本の音楽出版社から依頼を受けて、海外で著作権を管理する音楽出版社の事を『サブパブリッシャー』と言います。あくまで、基本は音楽出版社は自国の著作権の管理をメインで行うので、海外については提携する他の音楽出版社に任せて著作権の使用料の回収を行います。

伊藤:
 流れとしては、まず利用者から今度は『海外著作権管理団体』と『サブパブリッシャー』というのが増えます。海外では日本とは違って、一部の著作権の使用料は音楽出版社が直接使用料を徴収するケースがあります。『メカニカル』と呼ばれている日本で言う録音権に当たる様な権利については、直接音楽出版社が管理団体を通さず、使用料を徴収するケースがあります。当然、演奏権周りについては、管理団体が徴収するので、そこから『サブパブリッシャー』に使用料が落ちます。

仁平:
 こういう流れが出来るんですね。

伊藤:
 次に管理団体から演奏権の作家取り分については、JASRACさんのほうに分配が行きます。『サブパブリッシャー』に集まった使用料については、音楽出版社に日本の国内の管理団体を通さず、音楽出版社に分配が行く事になります。そしてJASRAC、音楽出版社からそれぞれ作家に対して分配が行くという形になります。

 やはり、メンバーになっている方には直送で分配が行きますが、メンバーになってない方については『サブパブリッシャー』が纏めて徴収をしてくれるという形になりますので、特にメンバーになってない方については音楽出版社を経由して、『サブパブリッシャー』に現地の管理を預けるという事によって、使用料の徴収精度を上げるという事が出来る様になります。

 海外で利用されるような作品については、当然、この『サブパブリッシャー』は海外の会社なので、中々簡単に見つけるという事は難しく、そこは日本の音楽出版社さんの力に依りますが、提携されている『サブパブリッシャー』であるとか、また新しい『サブパブリッシャー』を見付けて、そこに管理を依頼するという事によって、徴収精度を上げていくという事が望めます。

かにみそP:
 結局JASRACさんのメンバーになるか、音楽出版社と契約するかというのしか、取れないって事になっているんですかね?

伊藤:
 そうですね。残念ながらまだNexToneは、海外の団体との相互管理契約であるとか、片務契約、所謂、団体間の契約をまだ結んでいませんので、NexToneが直接海外から使用料を徴収するという事は出来ません。ですので、仰る通り、JASRACメンバーになるか、音楽出版社と契約して『サブパブリッシャー』に徴収をして貰うか、どちらか効率の良い管理方法になると思います。

仁平:
 先程から徴収する確度が上がるっていう様なお話を頂いたんですけど、日本の場合はJASRACさんもNexToneさんも、とても懇切丁寧に徴収して頂くので。つまり、中には無断で使っている方も居ますけど、ちゃんと徴収して来てくれるじゃないですか。海外って、黙って居ると徴収されない場合が多いって事ですか?

伊藤:
 それは国によって当然変わります。著作権管理団体の制度に関しても、国によって異なりますし、利用者の著作権に対する認識も含めて様々ですので、当然黙って居ると、払わない利用者が多い国もあります。

仁平:
 『サブパブリッシャー』を立てる事で、徴収出来る確度というか、徴収の率が高まるという事ですよね?

伊藤:
 そうですね。当然国内の権利者、作家さんであるとか、音楽出版社さんが、海外の特定の国での利用を把握してるケースっていうのはあります。そういった所を直接『サブパブリッシャー』に依頼を掛けて、利用者に取りに行くという様な事を日々行いますので、それによって取りこぼしを無くす、又は、少なくする、という様な事が『サブパブリッシャー』の義務になります。ですので、より精度は上がって来ます。

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