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「必要な議論を飛ばして表現規制で全ての問題を解決しようとしている」“青少年健全育成基本法”の議論が抱える、そもそもの問題点とは【山田太郎と考える「表現規制問題」第5回】

表現規制問題を記録として残す意義

山田:
 全5回、本当に皆様の応援があってこそ番組が支えられてきたと思っています。様々なゲストを呼ぼうということで……言い方は悪いですが派手なゲストも考えたのですが、これまで体を張ってどう言われようとも動じず、ブレない人をできるだけゲストとしてお招きしたいという気持ちがあり、そういった方々にご登場していただいたつもりです。

智恵莉:
 はい。

山田:
 でも、見返してみると昔から一緒にやっている仲間だったという(笑)。「内輪かよ!」という話になっちゃうのかもしれませんが、私はこの輪は広げていかなければいけないと思っています。
 私自身、表現規制の問題をやってきて、当然私一人でやってきたわけではなく、これまでにもいろいろな先輩議員がこの問題に取り組んできました。私は今回、議員としては落選してしまいましたから、今現職でやっている議員が頑張ってくれています。

智恵莉:
 今回、このシリーズに登場してくださったゲストの方々も戦い続けていますよね。

山田:
 第1回目に登場してくださった赤松先生は、漫画家として戦っています。漫画家って、表現のことを言ったところで得をしないし、下手すると協会を敵に回しかねない。自分の漫画が変に扱われるのは嫌でしょうから、協会は著作権を守りたい。だけど先生自身、同人作家出身だったこともあり、“真似る”ところから始めたから今があるんだということを振り返って、次の世代のために二次創作が発展するようにということで立ち上がった。

 私も赤松さんと話をするときに嬉しいなと思うことは、当初、私の事務所と接触した際に、「初めて児ポ法規制に問題があるということを知った」と言っていただき、活動していてよかったなって。

山田:
 第2回目のゲストは荻野さん。彼も民間の『特定非営利活動法人うぐいすリボン』で、命がけと言いますか全力で活動している。国際問題や海外に関しては彼はピカイチです。彼以上の情報を持つ人はなかなかいませんから、出演していただいて思う存分話していただいたことは大変有意義なことだったと思います。

 第3回目のゲストの山口さんと言えば、最近では森友学園の籠池さんの弁護を担当していたりと、ビックリしてしまったんですけど、ろくでなし子裁判やCGポルノ事件を担当するなど表現系のスぺシャリストです。
 「怖くないのですか?」と話すと、山口先生は「いつも怖い」とお話してくれます。籠池さんのときも汗ダラダラだったと思いますよ(笑)。

智恵莉志田
 (笑)

山田:
 山口先生クラスでも怖いわけで、大きな弁護士事務所に入っているから守られている部分もあると、本音では語っていました。弁護士だけどアクティビストというのかな。僕もそのつもりでやっていますけど、怖いっちゃ怖いですよ。でも、戦う以上は仕方ないわけで(笑)。

 第4回目のゲストは漫画論争の永山さん。最近はニューカルチャーラボ(山田太郎氏のサロン)のお手伝いもしていただいているのですが、古い時代から丁寧な取材をして心強い存在です。特に、東京都の問題に関しては、傍聴して記録に留めてくれているので、漫画論争は非常に役に立ちますし、貴重な証言者でもあるわけです。自主規制に関しては、なかなか分かりづらいところもありますが、永山さんを介すことで的確な意見を聞くことができます。

 今回は志田先生に来ていただきましたが、普段は憲法学者さんとはあまりお付き合いする機会がないだけに、非常にありがたい……ニコニコだと憲法学者はすぐに「左だろ」とか「赤だ」とかレッテル貼られちゃうわけですけど(笑)。

智恵莉:
 コメントでもありましたね(笑)。

山田:
 憲法学者あるある、というか(笑)。でも、憲法を守っているのに、赤なんて言われたらたまったもんじゃないですよね!?

志田:
 そうですね(笑)。それは本当にそう思います。

山田:
 日本って不思議なんですよ。保守っていうと“変えない”んだから憲法は守る立場にあって、革新っていうと憲法や国を“壊す”こともいとわない立場なはずで、なんか逆の立場になっちゃう感じがありますよね。

志田:
 そうですね。

山田:
 私は、日本が超リベラル憲法かというとそうでもないと思っています。憲法21条にもきちんと書いていますけど、穴もある。右も左も、「憲法を変える」という前提で何を変えるか、変えないかについて堂々と議論をすれば良いんだけれど、なんとなく憲法を変えるとなれば右で、一文字たりとも変えずに守るとなれば左という不思議な風潮があるというか。
 「日本を守る」などなど本質的な議論をしたときに、憲法が機能していないのであればどこが問題なのか? 議論すべきはどこか? ここはもっと自由でいいと思うんですけどね。やはり憲法学者というとレッテルを貼られるんです。

志田:
 (笑)

マンガ・アニメ・ゲームを守るため。山田太郎の戦いは終わらない

山田:
 我々はこうやって一生懸命、表現規制について議論していますが、表現というものは難しく、表現を「国民の権利」という形で主張すると「左だ」と言われます。
 一方でネット世界は、ネトウヨと連携しているのではないかと「山田さんも右寄りでそのシンパに支持を得ている」とか言われたりすることもあります(苦笑)。でも、私は一貫して主義主張を変えずにやっているつもりです。

 あと、報道の自由とコンテンツの自由は違う問題であるということ。報道は為政者と戦いますが、コンテンツの自由は、マスコミによる自主規制であったりマスコミの過剰報道であったり、マスコミやコンテンツ流通業者など様々なものと戦わなければいけません。マスコミは自分たちのことばかり伝えるばかりではなく、もっと表現の自由などコンテンツに対しても一方の意見だけではなく、両論併記で伝えていってほしい! メディアが死んだ国は大変なことになっていますから、頑張っていただきたい。そういう意味では、私も報道の自由を支持しているわけですから。

智恵莉:
 合わせて5回のシリーズでしたが、本当に濃い内容でしたね。

山田:
 過去の放送はアーカイブでも見ることができますので、少しでも関心を持っていただけたなら、ぜひチェックしてほしいです。

智恵莉:
 過去4回のアーカイブ動画もありますし、放送内容を記事化した原稿もありますから、ぜひご覧いただければと思います。

山田:
 これまでこういった議論や、日本の表現規制の歴史などを扱うときに、まったく記録化されていないことも問題だと思い、今回、ニコニコでシリーズとして放送させていただきました。
 5回の放送は、きちんと記録として残っているので、この先表現規制にまつわる法律や議論が話されてくときに、必ずやこの放送が役に立つと思います。

智恵莉:
 はい。

山田:
 まだまだ大きな力になっていくと思いますので、ユーザーの皆さんも動向に注目していてください。そして、再びニコニコでこのような表現に関する記録的な意味を持つ放送をお届けできたらと思っています。また皆さんにお会いできる日を楽しみにしています。
 志田先生、智恵莉さん、今日はありがとうございました。

志田:
 こちらこそありがとうございました。

智恵莉:
 またお会いできることを楽しみにしています。

山田:
 これからも表現規制問題に対して、我々は考え続け、戦っていきますので、皆さん今後ともよろしくお願い致します。それではまたの機会に!



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