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羽生三冠「もし神様から指し直す権利をもらったら?」に対して、一手詰めを見逃して頓死した“あの対局”を振り返る

神様から一手、指し直す権利をもらったらどうする?

つるの:
 続いての質問です。「神様から一手、指し直せる権利をもらったら、どの対局の何手目を指し直してみたいですか?」ということですね。加藤先生どうでしょう。

加藤:
 ある意味たくさんあるから即答は……。直近だったら、藤井四段との竜王戦で私が、1四歩、同歩、同香、1四と突くのを怠って負けた。だから1四歩突いていたら私が勝っていました。

羽生:
 去年の年末の藤井さんとの将棋のところで、終盤戦のところですね。

加藤:
 私が2五桂を跳ねて、1四歩、同歩、同香、5五歩ならば勝っていましたね。

羽生:
 なるほど。

加藤:
 考えてみれば当たり前ですよね。

羽生:
 難しい場面ではあると思いますけれども……。

つるの:
 それでは、羽生先生は覚えてらっしゃいます?

羽生:
 ひとつと言われるとですね、やっぱり私自身は今まで数多く対局してきた中で一手詰めをうっかりして負けたってことが一回あったんですね。

つるの:
 羽生先生でもそういうことがあるんですか。

羽生:
 そうなんです。流石に、その時はちょっと恥ずかしかったというか、普通だったら一手詰めは一秒も満たないぐらいで見えなきゃいけないんですけど、なんか血の気が引けました。ゾッとするとかっていう生ぬるい感じじゃないんですよね、何かホントに血の気が引くっていうような感じで……。

つるの:
 それは対局終わってから気づくものなんですか? それとも対局中に気づくんですか?

羽生:
 いや、もちろん相手の人が駒を動かして詰むってことは気がつくので、駒を動かした瞬間に、「あっ」て。どう言ったら良いんでしょうかね。それこそ初心者みたいなんですけど、よく将棋を指していて、王手掛けられて逃げるところがなくて終わったってことに気づくってことあるじゃないですか。

つるの:
 あります。

羽生:
 アレを何十年ぶりかに経験したって感じなんことがあって。それは五ヶ所逃げられるところあって、他どこに行っても勝ちだったんですよ。

第14期竜王戦挑戦者決定三番勝負第1局の135手目の棋譜
画像は無料の棋譜サービス 将棋DB2より

つるの:
 木村(一基)先生との対局でしたっけ?

※2001年9月1日に行われた第14期竜王戦挑戦者決定三番勝負第1局

羽生:
 そうです。「待った」は将棋は基本的にはできないんですけど、やり直せるというか、印象に残っていると言われたら間違いなくその一局ですね。もう十数年前になりますけど、それは竜王戦の挑戦者を決める大きな一局だったので……。

つるの:
 羽生先生でもそういう時は、穴に入りたいな気分になったことがあるんですか。

羽生:
 将棋って朝から始まって、ずっと優勢でも最後の三分とか最後の一分でミスして負けちゃうってこともあるじゃないですか。だからそういう意味では非常に過酷な競技のところもあるし、言い訳できないってところがあるので、それはインパクト残りますよね。

つるの:
 でも、逆に言えば、一回しか無いっていうのがすごいです。

羽生:
 いやいや、一回あるのも恥ずかしいですから。11手詰めとか15手詰めとかそういうのならばもちろんあるんですけど、一手詰めはさすがにプロだったら……どんな一手詰めでも普通は1秒で全部、気がついていくものなので。

つるの:
 我々からしてみたら(羽生先生も)人間なんで、その時の精神状態もありますし、切迫した緊張感もあるわけじゃないですか。

羽生:
 よく「勝負は下駄を履くまでわからない」って言う表現がありますけど、下駄履いてないですけど、下駄を履くまでわからないという感じですよね。

つるの:
 ただ、本当に物凄く申し訳ないんですが、将棋ファンとしては本当に安心するんです。「羽生先生でもこんなことあるんだ」みたいな。勿論、プロの方にこんなことを言うのはすごく失礼なことですけど、「羽生先生も人間なんだ(笑)」って思うこともあるんですよ。

羽生:
 でもそれは、ミスはしているので、ミスした後にミスしないようにして行くというところは大事なのかなとは思っています。

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