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無人コンビニは「ネット階級社会」の兆し!? 完全なキャッシュレス化&顔認証で「預金残高ゼロの客には自動ドアを開かない」未来を評論家が語る

 毎週日曜日、夜8時から生放送中の『岡田斗司夫ゼミ』。12月2日の放送では、パーソナリティの岡田斗司夫氏が最近気になるニュースを紹介し、そこから見えてくる未来についての解説が行われました。

 この中で岡田氏は、セブン-イレブン・ジャパンがNECグループ社内で実験的に行った、顔認証による無人店舗のニュースを取り上げ、「これらの顔認証システムは格差社会をさらに推し進めることになる」と語りました。

岡田斗司夫氏

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「NEC社内の無人コンビニ」から見えてくる未来

 Amazon Goとか、あとは、中国には既にそういった無人店舗が何千とあるそうなんですけど。たぶん、2019年はこういった無人店舗元年になると思ってるんですね。日本のスーパーマーケットとかでも無人レジが当たり前になっていますよね。人が居るレジが2つか3つくらいしかなくて、その他の5つか6つくらいは、もう無人レジなのが当たり前になってるそうです。

 「じゃあ、万引きとかが発生したらどうするのか?」というと。まあ、スーパーのレジとかは重量を測って、そういうトラブルが起きないようにしているみたいなんですけど。基本的には「万引き被害の被害金額よりも、レジ打ちの人件費の方が高くつく」というふうに見ているわけです。

 つまり、今までは、あくまで“コスト問題”として、こういう無人レジというのをやっていたんですけど。セブンイレブンのアプローチの新しいところは「NEC関係の社員のみ」という割り切りなんですね。

『Amazon Go』
画像はWikipediaより

 たぶん、これが上手く動き出すとなると、次に来るのは大学構内のコンビニですね。大学構内の売店で学生証を提示すると入れるコンビニということになるはずなんですよ。ただ、NECの社内コンビニでは「社員の給料からの天引き」ということが出来たんですけど、学校では、まさか学生証と個人の預金残高のヒモ付けというのが行われていないはずなんですよね。

 だから、2019年、2020年あたりからは、こういった個人ナンバー……いろんな人が学生証というのを持ってたり、社員証というのを持っていたり、保険証というのを持っていたりするじゃないですか。そういった個人ナンバーと、自分の預金口座、またはデポジットしたお金をヒモ付けるのが当たり前になるでしょう。

多くの人に必要なのは「預金口座と自分専用の番号のヒモ付け」だけ

 今、僕らは、例えばSuicaとかPASMOという形でデポジットしてるわけですね。他にも、Amazonポイントもそうですね。「あらかじめ自分で1万円とか2万円と、お金を入れておいて、そこから払う」ということにすれば、最終的な個人情報や預金情報とヒモ付けずに電子決済が可能になるというふうになってるんですけど。それがもう、どんどん面倒くさくなってきてるわけですね。

 なので、そういった個人ナンバーと預金口座もしくはデポジット専用口座とのヒモ付けになってくるでしょう。なかなか普及していないマイナンバー制度も、これとリンクさせると、一気に普及するんだろうなと僕は思います。

 例えば、自分のマイナンバーに自分の預金口座をヒモ付けするとどうなるのかというと、SuicaとかPASMOを“経由”はするんでしょうけども、マイナンバーカードを使って電車に乗って、コンビニで支払いをして、映画を予約して、Amazonで買い物をする。これが現実化すればどうなるのかというとクレジットカードというものが、この世の中に存在しなくてよくなっちゃうんですね。

 僕らにとって必要だったのは、ただ単に「信用が置かれている自分専用の番号と、預金口座とのヒモ付け」だけなんです。実は世間の半分くらいの人は、クレジットカードの“クレジットたる部分”、いわゆる「お金を借りたり、分割払いという部分」を使ってないんですね。

 ある人にとっては、クレジットカードの月ごとの利用上限額は、もう無駄でしょうがないんです。アメックスみたいに限度額がない方が気にせずに買い物ができる。「俺の預金口座には何千万とあるのに、なんで月々120万とか60万とかってふうに限度額を決められなきゃいけないんだ!」という人にとっては、もう他のデビッドカードとかの方が便利になってきてるわけですね。そういう人にとっては、自分のマイナンバーと預金残高をリンクさせてくれた方が、便利なわけです。

真のキャッシュレス時代にはクレジット会社は淘汰される

 初期のうちは、さっきも言ったように、SuicaとかPASMO等のバイパスを通らなきゃいけないんでしょうけど。こういったクレジットカード会社のような中間業者は、あっという間に淘汰されることになると思います。

 日本は、これからオリンピックを迎えて、その後、大阪万博もあるわけですね。そういうのが来るにあたって「これからはクレジットカード支払いが中心になって、キャッシュ(現金)レスな社会になる」と言われてるんですけど。その向こうに見えているのは「なんでクレジットカードの会社なんてものが必要なんだ?」という中間がなくなる世界が待っているんですよね。

 僕らは今、Amazonとかの通販会社を当たり前に使ってるんですけど、これが上陸してくるまでは、リアルの店舗がなくなるなんて考えもしなかったわけです。ところが、電子決済が出来る通販会社が出てくると、どんどんリアル店舗が閉じてって、卸業者がなくなってしまって、僕らはメーカーから直接、物を買う形に、どんどん近くなってきてるんですね。

 そうなってくると、クレジットカード会社についても、「もう1つでいいんじゃない?」とか、もしくは「ゼロでいいんじゃない?」というふうになる。今、ちょうど中間のリアル店舗がなくなっているように、中間にあった銀行とか金融とかクレジットカード会社という、この世界で20世紀後半くらいから「これこそがザ・ビジネスだ!」と思われていたような会社がガーッと消えていく。それが、2020年頃から見えてくる風景じゃないかと思います。

近未来のコンビニは「預金残高ゼロ」の客には自動ドアを開かない

 これがどんどん進んでいって、今、話した通りの完全なキャッシュレス社会になるとどうなるのかというと、おそらく銀行口座の残高がゼロだとコンビニに入ることすらできなくなるんですね。

 この記事に載っている実験店舗のコンビニは「NECグループの社員じゃないとゲートが開かない」んです。ここが僕、ポイントだと思うんですけど。近未来のコンビニでは、銀行口座の残高がゼロの人間にゲートを開く意味が全くないわけですよね?(笑)

 そもそも、考えてみれば、無人コンビニってコストダウンが目的なんですよ。つまり「人件費の方が万引き被害よりデカい」という考えの上に成り立っているんです。それと同じように考えたら、金のないヤツを店に入れるメリットなんて、全くないわけです。

 コンビニの客というのは、例えば「立ち読みとかをしてくれるおかげで客寄せになる」なんて言われているんですけども。金を一切持っていない客がコンビニにいるというのは、他の客にとってはリスクになるだけなんですね。つまり「そんな危ないヤツが入っているよりは“優良な市民”がいっぱい入っているコンビニの方が安全である」という考え方になるはずなんですよ。

 管理社会を嫌う人にとっては、これは嫌な話だと思うんですけど。おそらく大多数の平凡な市民にとっては、これから先「その方が安全だろう」という考え方に、どんどんなってくるわけですよね(笑)。

僕らは「資格のない人間は入れない」場所のほうが安心する

 こういう無人化というのは、映画館とかコンサートでも当たり前になるでしょう。チケットを持っている人というのは、何もチェックせずにゲートを顔認証でスーッと通れるようになる。こういうことは、現在でも一部で既にやってますよね?

 やがて僕らはこういった「資格を持ってない人は通れない」という顔認証によるゲートの通過を、当たり前と思うようになると思います。むしろ、顔認証のゲートを通って入った先の方が安心できるようになる。

 例えば、国際空港とかで、そこら辺に荷物を置いておいたら、ちょっと不安なんですけど、ところがセキュリティゲートを通ったら、なぜか安心感がちょっとあがりますよね? それと同じように、僕らはある種のゲートを通った方が安心に感じるところがあるんです。

 つまり、安心というものの定義が徐々に変わってきてしまう。例えば「マンションの住人にしかゲートが開かない」とか、「学校の生徒以外にはゲートが開かない」とか、そういうゲーテッド(Gated)な、門で囲われた世界というのを、僕らは安全だと感じるようになる。市民生活を送る場としても、都市の中ではなく、“都市の中のさらにセキュリティゲートで囲われた内側”に、僕らは安心を感じるようになっていくと思います。

やがて誕生するだろう“富裕層しか入れない街”

 その次の段階は、もちろん“ゲーテッド・シティ”ですね。城塞で囲まれた、富裕層と、あとはその使用人しか入れない街。そういう街が、まあ2019年辺りからは出てくると思います。それは、言っちゃえば、いわゆる「チェックインしてカードを貰わないと、そのフロアでエレベーターが止まりません」という、超高級ホテルにある会員専用ラウンジみたいなものですね。

 そのうち、ビルのワンフロアが丸々そうなったり、1つのビル丸々がそうなったり、やがては「小さい街全てがゲートで囲まれて、入れるのは選ばれたメンバーのみ」という安全な都市というのを、森不動産あたりが開発するんでしょう。

 この顔認証が進んでいった先にあるのは「そういった社会の階層化というのが土地的な形で見えるようになる」ということ。そして、この無人コンビニというのは、いよいよ始まった科学技術の粋を尽くしたネット階級社会の第一歩だと思います。

▼記事化箇所は01:48からご視聴できます▼

#259表 岡田斗司夫ゼミ「AI時代の『経済と正義』(4.09)

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