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事件や事故があった物件の「二人目の入居者」には事前説明をしなくてもいい?事故物件の“告知義務”の真偽を大島てるが解説

 「事故物件を貸す場合、一人目の入居者にだけは告知をしなければならないが二人目以降は告知をしなくてもよい」

 殺人、孤独死、自殺などの理由で“いわくつき”になってしまった事故物件について、まことしやかに話されるこの言説。事故物件公示サイト「大島てる」でお馴染みの大島てるさん@Oshimaland)と、事故物件住みます芸人の松原タニシさん@tanishisuki)がパーソナリティーを務める番組「事故物件ラボ」で、その真偽について解説がおこなわれました。

 この不動産業界の風潮について、大島さんがその元となった裁判例を紹介。また、その裁判の原告側であるオーナーから『大島てる』サイトへの削除要請があったことを明かしました。

左から松原タニシさん大島てるさん

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事故物件の告知はいつからはじまった? きっかけとなったある裁判

大島:
 私にとっては都市伝説のようなものなんですけれど、「事件や事故の後、一人目の入居者にだけはその事実を告知する。二人目以降は黙っている」とよく言われるじゃないですか?

松原:
 都市伝説なんですか?

大島:
 裁判でそのままどのケースでも通用するかと言うと、そんなことは全くないんですけれども、ただ実際そう思い込んでいる業者さん、オーナーはいっぱいいるわけです。もちろん一人目にさえ告知しないというのと比べれば、断然マシなわけですよ。ただ二人目以降もずっと告知してほしいという人からすると、不満なわけですよね。

 なぜ一人目には言って、二人目は言わなくていいという風潮が出来上がったかと言うと、世田谷にあるアパートでの自殺をめぐっての裁判の判決で、そういうことが言われたからなんです。有名人でもないですし、殺人事件でもないですから、報道はされなかったんですけれど、今となってはかなり有名な裁判例の舞台となった物件です。

 少し手短に説明すると、二階建ての普通のアパートの二階の一室ですね。そこで若い住人が自殺したんです。オーナーは不動産業者なんですけれど、親を訴えたわけです。

松原:
 自殺した若者の親を訴えたんですか?

大島:
 そうです。若者ですから、子供とか奥さんとかはいなかったので、親が連帯保証人であると同時に、遺族相続人ということで、「お前の子供がうちのアパートで自殺したせいで、うちのアパートが傷物になってくれたじゃないか」と訴えたわけです。

 親だからというよりは、連帯保証人だからということなんですけれども、こんな自殺なんかが起きたら、オーナーとして我々は今後全部の部屋に永久に「自殺がありましたよ」って言い続けなきゃいけなくなると。そうなったら誰も借りてくれなくなるから、その分の家賃を全部何とかしろというふうに訴えたわけです。

 当然親は「そんなお金ないし、払いたくない。そもそも他の部屋は関係ない部屋だ」と言ったわけですよ。その自殺があった部屋に関しても、永久に告知する必要はないのではないのかと。だから「永久に家賃を下げる必要もない、つまり損失損害は大したことはないんだから、悪かったとは思うけれど、弁償する金額はもっと少ないはずだ」と反論したわけです。

 裁判所はその間を取ってというよりは、かなりその親の側に立って、まず「自殺があったのは二階なんだから、一階の部屋は関係ない」と。二階の部屋も、確か203号室ですけれども、「201とか202とか205とかは関係ない」と。「その自殺があった一部屋だけ告知義務がある」と。

 そしてその自殺があった部屋も、次に住む人に対しては言わなきゃいけないけれど、その人が2年ぐらい住めば、その後は別に言わなくてもいいというような判決を言い渡したわけです。

 そういう判決が言い渡されたので、不動産業界の勉強会とか顧問弁護士とかを通じて業界内に広まっていって、「一人目には言わなきゃいけない、でも二人目には言わなくていいんだ」と、そこだけ切り取られて広まっていったんです。

 しかも面白いのは不動産業者側は、「自殺があったことを全部の部屋に関して永久に言い続けなきゃいけない、だからこんなに損害が大きいんだから全部払え」というロジックだったのに、皮肉なことに逆説的に、今は二人目には言わなくていいという立場の材料として使われてしまっています。

『大島てる』サイトに原告側のオーナーから削除要請が

大島:
 さらにその後日談がありまして、この原告だったオーナーなんですけれど、「『大島てる』サイトから写真と炎のアイコンを削除しろ」と言ってきました。つまり裁判では裁判官に対して、「我々はここで自殺があったことを永久に告知する、だからこんなに損害が大きい」ということを遺族に対して請求していたのに、私に対しては「全部消せ」と。

松原:
 これは許せないですね。

大島:
 既読スルーなので別に何もしてませんけれど。

松原:
 返事していないんですね(笑)。

 これは、「ひとり住んだら、次は告知しなくていいよ」という判決が出た部分だけ広まっているということですか?

大島:
 はい。裁判では不動産業者側が、「自殺があったことを全部の部屋に永久に言い続けなきゃいけない」という理由で、「こんなに損害が大きいんだ」と言ったのに……。

松原:
 『大島てる』に載せていたら……。

大島:
 「全部消せ」と言いますし、業界では結局それがひっくり返されて、「二人目には言わなくていいんだ」ということの材料に使われているというのが、非常に皮肉だなと思いますね。

松原:
 なんか嫌な奴じゃないですか?

大島:
 しかも私がサイトを作ったのは平成17年の2005年なんです。このアパートでの自殺は2006年の平成18年にあって、今お話しした東京地裁の判決も次の年、2007年の平成19年に言い渡されたことなので、その後に業界の勉強会とか顧問弁護士を通じて広まっていきました。

松原:
 結構最近なんですね。

大島:
 何が言いたいかというと、「一人目の人にしか教えてくれない、二人目の人には教えてくれないこの世の中が間違ってる」と思って私が『大島てる』サイトを作った、みたいな流れじゃないんですよ。

 あくまでも私が先に『大島てる』サイトを作って、後から自殺して、さらに後で裁判が起きてという流れなので、私が『大島てる』サイトを作った時点では、「一人目の人には言わなきゃいけないけれど、二人目の人には言わなくてもいい」というルールはなかったんです。

 となると、なんで私がこんなサイトを作ろうと思ったんだろうということになっちゃって……。

松原:
 ……なんでなんですか?

大島:
 いや、思い出せないです。

松原:
 そこめっちゃ大事なとこじゃないですか(笑)!? 全部のお膳立てができたというか、「だから『大島てる』を作ったんだ」と言えたら、ほぉ~ってなっていたところを(笑)。

大島:
 いや、本当に特に理由もなく……。

松原:
 来月までに思い出してください(笑)。


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▼記事の箇所は1:33:25からご視聴できます▼

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