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『24時間テレビ』で放送された“手塚アニメ”の制作現場が地獄すぎた件「オンエア中にラストシーンのコンテを描いていた」

💡ここがポイント

●かつて『24時間テレビ 愛は地球を救う』内で放送されていた“アニメスペシャル”について言及。
●番組では手塚治虫氏が手掛けたアニメが放送されていた。
●制作環境の過酷さから、その出来事は“アニメ地獄”と語られ、制作界隈で伝説として語られていたという。

 毎週日曜日、夜8時から生放送中の『岡田斗司夫ゼミ』。8月26日の放送では、パーソナリティの岡田斗司夫氏が日本テレビ系列で、8月25日から26日にかけて放送された『24時間テレビ』内で、かつて流されていたスペシャルアニメについて触れ、当時の過酷なアニメ制作現場について語りました。

岡田斗司夫氏

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かつて24時間テレビでは“手塚アニメ”が放送されていた

岡田:
 日本テレビの番組『24時間テレビ 愛は地球を救う』ってあるじゃないですか。実は、1970年代の終りから1990年まで、この番組の中には“2時間のアニメスペシャル枠”というのがあったんです。

 まあ、2時間とは言いながら、実質的には1時間半くらいの枠なんですけど、毎年毎年、オリジナルのアニメ作品を1つ放送してたんですよ。

 これは、24時間テレビで放送されたスペシャルアニメのリストです。1982年の第5回『アンドロメダ・ストーリーズ』だけは違うんですけど、それ以外の第7回までのアニメは、すべて手塚プロが作った手塚アニメなんですよ。しかし、あんまり出来がよろしくなかったから、手塚プロでの制作は第7回で打ち切りになっちゃって、第8回からは他の会社が作るようになったんです。

 若い人は知らないと思うんですけど、今から40年前の1978年から84年まで、ほぼ毎年、1回を除いて、手塚アニメが2時間放送されていた時代があったんです。

アニメ『バンダーブック』が表紙を飾る当時のアニメージュ

第1回から大事故だったスペシャルアニメ

 ここで放送された手塚アニメがどういう内容だったのか?と。 実は、この手塚プロが手掛けたスペシャルアニメは、第1回目の『100万年地球の旅 バンダーブック』の時から大事故だったのです。

 この『バンダーブック』は、手塚治虫先生が原作・脚本・コンテ・原画・動画の全ての部門を担当していたんです。脚本段階から「全部、自分がやる!」と言っていたんですけど、これが遅れて仕方がなかったんですよ。

 もう、コンテやシナリオが出来る前から「このままでは間に合いません!」と言われて、仕方なく、シナリオがまだ半分しか出来ていないというのに、頭の方から絵コンテを描いて、それが仕上がったら、次に自分で原画を描いて、それが終わったら、今度は自分で動画を描き始めるという、つぎはぎみたいな作業を延々とやっていたんですけど、それでも終わらないんです。

 というのも、この時期の手塚先生というのは『ブラックジャック』のヒットによって漫画家として復活した後だったので、漫画の連載も抱えていたんですよ。なので、ただでさえメチャクチャ忙しい。

 そんな中、アニメの仕事もすることになったもんだから、『バンダーブック』の制作というのは、どんどん遅れて行くことになりました。

 そして、ついにオンエアの2ヶ月前、制作デスクの担当者が失踪してしまうんですよね。その人、本当にどこかに行ってしまって、なんといまだに見つかっていないんですよ。ちなみに、この辺りの事情は、『ブラックジャック創作秘話』という漫画の中の「アニメ地獄」というタイトルの回に詳しく描いてあります。

ブラック・ジャック創作秘話 ~手塚治虫の仕事場から~
(画像はブラック・ジャック創作秘話 ~手塚治虫の仕事場から~ 2 (少年チャンピオン・コミックス) | Amazonより)

手塚治虫の“アニメ地獄”

 手塚先生というのは、とにかく、何か困ったことがあったら、打ち合わせと称して「それは私がやります!」と言うんです。だけど、それをやっても同じなんですよね。

 そもそも、「脚本は全て私が書く! コンテも私が切る!」と言っていたから、こんな困った状況になっているわけなんです。原因は、手塚先生が全部、自分がするということにこだわっていたからなんですよ。

 そんな中、制作が遅れてきたらどうなるのかというと、それでもやっぱり「全部、私がやる!」と言うんです。結果、どうなったのかというと、もう本当に、手塚さんは寝る時間もなくなってしまいます。

『ブラックジャック創作秘話』より「アニメ地獄」の回
(画像はブラック・ジャック創作秘話 ~手塚治虫の仕事場から~ 2 (少年チャンピオン・コミックス) | Amazonより)

 放送2ヶ月前に制作進行の方が失踪してからというもの、手塚さんは毎日ほとんど寝ずに、ずっとアニメを作り続けている。だから、周りももう何も言えなくなっているわけですよ。

 というのも、手塚先生が誰よりも働いてるから、そこでこれ以上手塚さんを責めるわけにはいかないんです。責めることで時間が5分でも取られるくらいなら、その分、5分でも何かを描いてくれた方が状況がマシになるじゃないですか。

 だけど、そんな手塚先生もあまりにも追いつめられると、別の部屋へ逃げてしまいます。では、別の部屋で何をやっているのかというと、別の連載漫画を描いているわけですね(笑)。

 そして、連載漫画が煮詰まって「もうダメだ!」となると、アニメフロアに降りてきてアニメを作るという、本当に地獄のような日々を過ごしていたそうです。「アニメ地獄」って書いてありますが、これは、他の人にとっても地獄なんですけども、一番の地獄の中にいたのは手塚先生自身なんですよ。

 そして、そんな地獄へ自分を追い込む時のやり方というのが、「はい! それも手塚がやります!」とにこやかに引き受けて、全部持って行くという方法だったんですね。

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