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『マツコ会議』超えた? NHKの暴露トーク人形劇『ねほりんぱほりん』のすごさを岡田斗司夫が解説

 時事ネタ、映画、漫画、世間の潮流の分析など幅広いジャンルを取り上げ、紹介する岡田斗司夫。今回は今「Eテレ」が熱い!ということで、暴露系トークバラエティ『ねほりんぱほりん』が取り上げられた。「地下アイドル」「インスタに命をかける偽装キラキラ女子」「有名人を狙うプロ彼女」など、事情があって顔が出せない人々の秘密の世界を、司会のYOUと南海キャンディーズ山里亮太が根掘り葉掘り聞き出すという趣向の番組だ。

 この番組がいかに狂っているか、ということについて熱く語る岡田。教育テレビでは扱いにくいと思われる「セフレ」「偽装」という会話も、人形劇に落とし込むことでマイルドに再構成していると解説。「これ1回見てしまうと民放の暴露トーク番組が物足りなくなっちゃう」「NHKの人形劇の技全てが使われている」と絶賛した。


ひとり語りの岡田斗司夫

 今日は、今「Eテレ」がちょっとすごいんじゃね?という話です。皆さん『ねほりんぱほりん』ってご存知でしょうか。人形劇みたいな絵面でやってるトークバラエティーです。これNHKのサイトから、直に拾ってきたやつなんですけど。先週やった「地下アイドル」の回・前編ですね。地下アイドルの人が3人出てきて話をするんです。

 この番組の作りは何かと言うと、いわゆる暴露系トーク番組なんです。顔出せない人が出てきて、色々深い事情を話して、それを山里亮太とYOUがぐいぐい、根掘り葉掘り聞くので、『ねほりんぱほりん』というタイトル。ただ、それを普通にスタジオで収録してから、全部人形劇に落とし変えている所が、この番組の面白さなんですね。山里とYOUがモグラ。ゲストが豚になって登場します。

司会者がモグラで登場

 インタビュー内で出てくる説明シーンで再現ドラマみたいなのがあるんですけど、それも全て、かなり大きいサイズの人形なんです。これはオタ芸をしている人たちですね。オタ芸でわーっと盛り上げているシーン。これ、どうやって撮っているかというと、ブルーバックで人形持った2人が動いて、それを幾つも幾つも合成して、かなりちゃんと作ったセットの中で動かしているんです。

 だから普通のトークバラエティー、暴露トークものと手間をかける場所が全然違うんですね。民放のこういうトーク暴露バラエティーというのは、いかに過激な話を引き出すかということ。情報量、濃い話、えぐい話で持っていくんですけども、『ねほりんぱほりん』の場合の過激さは、そういう民放的なものではない。刺激的な話、えぐい話ではない。話自体は、本当にスゴイんですよ。

 たとえば、地下アイドルの回で「アイドルは誰でもなれます」という発言がありました。家族が毎回自由に来ることで「中の下ぐらいのレベルの女の子でもアイドルになれます。」こういった話が出てくるんです。この時に山里のモグラがリアクションしているシーンがあるんですけど、普通だったら「え? 」という顔だけで終わるところが、人形劇に翻訳して、全部絵を撮った後でもう1回人形劇に演技させているのですね。

 だから山里モグラが「あーっ」と言ったら、ヘルメットの部分がポーンと飛び出るアクションも入ってるんですよ。すごく、見やすくなっているっていうのかな。より悪意みたいなものが隠されている分、染み出るような感じで面白くなっているんですね。

NHKの人形劇技術の高さについて語る岡田斗司夫

 その地下アイドルの女の子が「この10人というのは、家族でも誰でもいい。別に彼氏でもセフレでもいいんですよ」と言ったらですね、思わずそこにYOUがつっこんで、「ちょっとすごい言葉が出てきましたね。セフレですか。そういう風に聞くと、セフレっていう言葉も、柔軟剤みたいでいいよね。」と言う。

 これね、過激さのレベルが違うというか。教育テレビなんだけども、あえてそういう過激な言葉を登場人物が使っちゃったら、カットするんではなく、YOUのこういう機転によって棘を取るような感じにしているんです。最終的な絵面が、可愛い豚が過激なことを言っていて、モグラが驚いているという風に落とし込んでいる所がすごくうまいです。

 これ1回見てしまうとですね、民放の暴露トーク番組が物足りなくなっちゃうんですよ。つまり、どんなにえぐい話をされるよりも、YOUと山里の話術で徐々に心を開いていく所が面白い。それを言っちゃった人間が、何故そんなことを話すのかという、心を動かす所が見れるんです。

過激な発言も人形劇でまろやかに!?

 やっぱ、YOUの話術が凄いです。言っちゃえば単調なんですよ。ストレート・フック、ストレート・フックの連続で、「あ、私それ嫌い、私それ嫌い、わかんない。」って言った後、フックで「わかる気がする、わかる気がする。」この連続で相手の心をほぐしておいて、油断した所でアッパー。「でもなんでそうなの?」が出てきてみんな心を許して話してしまう。

 僕が面白かったのが「有名人を狙うプロ彼女」の回と「インスタに命をかける偽装キラキラ女子」の回。皆さんもこれは見た方がいいんじゃないかなと思う。

 「偽装キラキラ女子」はSNSでリア充になりすまして、偽装しているリコさんという人がゲスト。東京のOLになりすますために、わざわざキラキラアカウントを作ってるんです。番組のために「港区わがままOL」というアカウントを出演の2ヶ月前に作って、ずーっとつぶやき続けたら、だいたいこんな感じになりますという実験をやって、それを発表してました。

 未だにこのアカウントあるんですよ。そしてこれに関して「すごいですね」とか「憧れます」というリツィートが現れるというくらいの出来ばえ。「きれいなものと甘々な言葉が大好物。両親に甘やかされて育ってしまいました。暇つぶしに何気ない日常をツィートしています。趣味は、デートとミシュラン店めぐり」

 恵比寿、六本木に出没と言ってるんですけど全部、ウソなんです(笑)。ほんとは大阪の田舎で事務やってる女の子なんです。写真も変な所から取ってくると2ちゃんねるの特捜班に暴かれるということで、ものすごく工夫してる。2ちゃんねるで偽装キラキラ女子を暴こうとしている人たちがいて、暴かれないための必死の戦いをしているそうです。

この番組の魅力は、YOUのトーク術だと語る岡田斗司夫。

 僕、これまでテレビ放送で、そこそこ深いなって思ったの『マツコ会議』なんです。マツコ・デラックスのポジションもYOUと同じ。「それわかんない」「私、そういうの嫌ーい」と言いながら「わかる気がする」この交互。

 『ねほりんぱほりん』でやっていることの方が、さすが教育テレビだけあって、一段上のクオリティー持っているんですね。『にこにこぷん』とか『ハッチポッチステーション』以来のNHKの人形劇の技全てが、こんなことをするために使われている(笑)これめちゃくちゃカッコイイですよ。

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