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『ゴジラ』のデザインは原爆の“キノコ雲”から着想を得ていた…映画などにおける“モンスター”と“科学”の意外な関連性

 毎週日曜日、夜8時から放送中の『岡田斗司夫ゼミ』。7月8日の放送では、映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』の公開を記念して、恐竜に関する特集が行われました。

 この放送で、『ジュラシック・パーク』シリーズが誕生した背景を語る中で、パーソナリティの岡田斗司夫氏は、“ゴジラ”や“フランケンシュタインの怪物”などを例に上げながら、「映画やアニメ作品に登場するモンスターは、その時代ごとの最新の科学によって形作られる」と語りました。

電気の力で動く、死体を繋ぎ合わせて作られた怪物が登場する19世紀の小説『フランケンシュタイン』(画像はWikipediaより)

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モンスターは最新の科学によって形作られる

岡田:
 人々が考え出す“モンスター”、恐怖の対象というのは、意外なことに、その時代の最新の科学の形を纏うことが多いんですよ。
 
 例えば、生態電池が発見された時代、ボルターが「電極をカエルの死体に当てると、ビクッと動く」という実験を行った時代には、『フランケンシュタイン』という小説がメアリー・シェリーによって書かれました。

 つまり、「最新の科学というのは、恐ろしい結末をもたらす」というのは、人類が、もうずっと昔から持っているイメージなんですね。


原爆実験の恐怖から生まれたゴジラ

 ゴジラというモンスターも、原爆の実験から生まれました。これは、僕らもよく知っている一番最初のゴジラなんですけども。これは、原爆によって産まれた、原爆怪獣とか、水爆怪獣というふうに言われています。

 ところが、このゴジラも一番最初はこんな姿ではなかったんですね。

 初期のゴジラのデザイン案はこうでした。これはもう、ゴジラファンにとっては当たり前なんですけども、全身が鱗に覆われているんですよね。

 なぜ鱗が付いているのかというと、元々は「ティラノサウルスみたいな巨大な恐竜が原水爆の実験によって目覚めて、海から出てくる」という設定だったからなんです。

 ところが、これではテーマ性をハッキリ出せないということで、頭の部分からこんな感じのデザインになっていきました。

 これは“原子雲”と呼ばれる、原爆水爆が爆破した時に起こる雲に似せて描かれた、ゴジラの頭の形のデザインスケッチです。いわゆる“キノコ雲”です。

 ゴジラのデザインというのは、こういうふうに段々と固まってきて、最初のゴジラのワニみたいな鱗というよりは「全身の皮膚が放射線によってケロイド状に焼けただれたような体表面」という表現に近づいていきます。

 つまり、その時代の最新の科学による恐怖というのが、その時代の怪物の姿に反映されるわけですね。

岡田斗司夫氏

最新科学への恐怖がモンスターを生む

 例えば『シン・ゴジラ』というのも、福島の原発事故などをモチーフにしてデザインされています。

 「最新科学への恐怖がモンスターを生む」という意味では“遺伝子工学”というのがもてはやされた頃に、遺伝子操作で産まれた恐竜が暴れまわる『ジュラシック・パーク』という映画が作られたのも当然の流れなんです。

 これに限らず、映画業界では、その時代の最新の科学をモンスターとして描くということが定番中の定番なんですね。

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