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人間は残酷だ…。電気ショックを用いた精神実験『ミルグラム服従実験』の内容がエグすぎる

 今回紹介するのは、あたまんじゅうさんが投稿した『ゆっくりと見る心理学実験【服従実験】』という動画。科学カテゴリで過去最高8位を記録しました。

 音声読み上げソフトを使用して、同人ゲーム『東方Project』の東風谷早苗(こちや さなえ)チルノのふたりのキャラクターが、イェール大学で実際に行われた心理実験「ミルグラム服従実験」について解説を行います。

 人間がどれだけ他人の命令を聞いてしまうのかを考証した「ミルグラムの服従実験」、その恐ろしい実験結果とはどのようなものだったのでしょうか?


ゆっくりと見る心理学実験【服従実験】


「ミルグラム服従実験」のきっかけとなったナチスのホロコースト

画面左がチルノ、右が東風谷早苗。

東風谷:
 1960年、一人の男がイスラエルの特殊諜報機関『モサド』によって捕まりました。男の名はアドルフ・アイヒマン。元ナチスでユダヤ人を虐殺したホロコーストに関与した人物でした。

 しかし彼の裁判の過程で、当時の人たちは疑問に思います。ホロコーストのような恐ろしい行為に加担したナチスのメンバーだったのだから、極悪人のはずです。しかし、裁判にあらわれて証言する彼の姿はどこにでもいるような小市民そのものだったからです。

 ここで心理学の研究者たちは疑問に思います。ホロコーストのような残虐な行動を行ったアイヒマンは、今ただ単に羊の皮をかぶった狼なのか。それともどこにでもいる市民が特殊な状況下では命令とあらば恐ろしい残虐行為に加担するものなのかと。

 イェール大学のユダヤ系の心理学者であるスタンリー・ミルグラムは、このホロコーストの起こったメカニズムを解明したいと思い、ある実験を行います。それがミルグラム実験です。

 ちなみにミルグラムはスタンフォード監獄実験【※】を行ったジンバルドとは高校の同級生です。

※スタンフォード監獄実験
スタンフォード大学で行われた、心理学の実験。心理学者フィリップ・ジンバルドーの指導の下に、刑務所を舞台にして、普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまうことを証明しようとした実験が行われた。

 ナチスのホロコーストがそもそもの実験のきっかけだったようです。ミルグラム実験とはどのような実験なのでしょうか? ミルグラムとジンバルドの関係について「ミルグラムとジンバルドが同級生とかイヤンな感じ」といったコメントが寄せられました。(ジンバルド博士がおこなったスタンフォード監獄実験については記事末の関連記事参照)

「人はどれだけ権威に服従するのか」

東風谷:
 地元の新聞広告にて、『記憶と学習に関する実験』と称して、実験の被験者が集められました。しかしこれはダミーであり、実験の本当の目的は、「人はどれだけ権威に服従するのか」調べることです。

チルノ:
 怖いなー。

東風谷:
 集められた被験者たちは、くじを引いて「教師」役と「生徒」役に別れます。しかしこのくじも操作されており、被験者は必ず「教師」役になるように仕組まれていました。

チルノ:
 くじで自分も生徒になる可能性があった、って被験者がこの時点で自覚してるんだね。運が悪ければ、自分も生徒役になったであろうことを。

 教師役をすることになる被験者に、さりげなく「自分も生徒になる可能性」を自覚させる実験手順に「くじ演出までこしらえてたのか、流石やな」といったコメントが寄せられました。

東風谷:
 くじが操作されていることを被験者は知りませんからね。この実験での観察対象は教師役の被験者だけで、生徒役と研究者はグルです。さて、教師役の被験者と生徒役のサクラと研究者が、ひとつの部屋に入ります。

 そこには、電気椅子が置かれていました。さて、被験者である教師はここで電気椅子に座らされ、お試しに45ボルトの電圧の電気ショックを加えられます。

チルノ:
 ヤバくなってきたぞ。

東風谷:
 教師役の被験者が電気ショックを体験し、その痛さを体験したところで、生徒役のサクラを電気椅子に固定して身体を拘束します。そして、教師役と研究者はともに別室に移ります。

 この実験の内容ですが、教師役の被験者がマイク越しに簡単な出題を出し、生徒がそれに間違えたら被験者がボタンを押して生徒に電気ショックを与え、間違える度に電気ショックの電圧を上げて行くという実験です

チルノ:
 えぇ! それって人権問題なんじゃ……。

東風谷:
 ただし、生徒役は役者であり、実際に電気ショックを与えるわけではありません。しかしそのことを教師役の被験者は知らないので、生徒役の役者が電気ショックを痛がる演技を、本当のものだと感じているわけですね。

チルノ:
 それでも人権的に問題ありそうだけど……。

東風谷:
 教師役はマイク越しに、役者の痛がる演技の音声を聞くわけですね。最初の実験では音声だけでしたが、後の実験では生徒役が見えるところで痛がる演技をする実験なんかも行われたみたいです。

 さて、この実験に被験者はどこまでNOと言わずに従うのか、という実験が本当の目的です。このことから、この実験は「ミルグラムの服従実験」とも呼ばれます。

チルノ:
 名前からして怖いんですが。

 あくまでも電流は流されず、苦しむ演技を見せるだけですが恐ろしい心理実験の全貌が明らかになりました。「電流が強くなると壁叩いたりとかやってたって聞いた」「教師役のメンタルが心配だ」といったコメントが寄せられました。

「もうやめだ! 実験を止めてくれ!」

東風谷:
 最初は教師役が先程体験したような軽い電気ショックを生徒役に与えるだけで、何事もなく進んでいきました。

 しかし、教師役が120ボルトの電気ショックボタンを押したあたりから、スピーカーから生徒役の大声で叫ぶ声が響いてきます。

チルノ:
 いや、普通はそこでやめるでしょ。良心を持つ一般市民ならそうするでしょ?

東風谷:
 本当にそう思いますか? 教師役が実験を中止しようとすると、白衣を着た研究者が「あなたはこの実験を続けなくてはいけません」と引き留めます。

 引き留めは合計4回行われ、それでも教師役が実験を中止しようとすると、実験中止となります。

チルノ:
 実験中止にならなかったら?

東風谷:
 450ボルトの電気ショックを3回流したところで実験は終了となります。しかし、150ボルトの電気ショックで、スピーカーの向こうからは絶叫が聞こえ。300ボルトの電気ショックを流したところで、生徒役が「もうやめだ! 実験を止めてくれ!」と叫びます。

チルノ:
 ひええ。

 もしも本当に電流が流れていれば生徒役の人間は死んでしまいかねない状況です。コメントでは「役者すごいなあ、見抜かれなかったのか」「自分が教師役なら途中でビビって泣き出す」といったものが寄せられました。

東風谷:
 さらに315ボルトの電気ショックを流したところで、生徒役が「もう俺は実験をやめる!」と叫びます。

チルノ:
 いや……ここまでは行かないでしょ……。

東風谷:
 そして、330ボルトを超えてからは、電気ショック時の生徒役の反応は一切なくなります。さて、この実験で、実験終了の3連続450ボルトのボタンを押すまでに至った被験者はどれぐらいの割合でしょう?

チルノ:
 さすがに数%じゃない? 最後まで行く人はそんなにいないはず。

東風谷:
 この実験を行う前に、イェール大学の心理学専攻の学生や、精神科医も、チルノちゃんと同じような予想を立てました。最後まで実験を行うのは、ごく限られたサディストだけであろうと。最後まで実験を行い、生徒役に450ボルトの電気ショックを3回与えた被験者は、全体の65%でした。

 ミルグラム実験は反響が大きく、様々な人種・性別にも適用して実験が行われました。しかし、人種・性別に関係なく、だいたい最後まで実験を行う人の割合は6割り程度になるらしいです。

 もしも演技でなければ生徒役は死んでいるという設定にも関わらず最後まで電気ショックを与えた被験者の数の多さに「人間って怖いよ」「うわぁ…けっこう居るな」といった驚きのコメントが寄せられました。

引きつり笑いを起こしながら電気ショックボタンを押した者まで

東風谷:
 最初の実験では、生徒役と教師役がどちらも男性でした。これをどちらも女性にしても、結果は変わらなかったそうです。ただし、女性の場合は男性よりも高いストレスを感じたそうです。

チルノ:
 それでもやるんだ……。

東風谷:
 教師役の被験者も平然と実験を行っているわけではなく、高いストレスを感じ、発汗、震え、痙攣を起こしたり、引きつり笑いを起こしながら電気ショックボタンを押した者までいたそうです。

チルノ:
 いや、怖いわ……。

東風谷:
 さらに、教師役を二人にした服従実験(もうひとりの教師役はサクラ)などを行うと、その教師役が実験に積極的だと被験者も実験に積極的になり。もうひとりの教師役が実験に否定的だと、実験を中止する率が高くなることが明らかになりました。

チルノ:
 へえ、他の人がいるとその人の判断に釣られるんだね。

東風谷:
 あとは教師役の人数を増やすと服従率が下がったり、さらに研究者が同じ部屋にいないと服従率が下がったというデータもあります。

チルノ:
 権威である研究者が部屋にいるか、いないかだけで結構変わるんだね。

 多少の要素の変化で実験の結果は変動するものの、教師役を女性にしても結果は変わらないなど人間は権威に弱く、命令されれば何でもやってしまう傾向があることが明らかになりました。

東風谷:
 この実験によって人間とは権威に服従しやすいものだと明らかになるのでした。これがミルグラム実験です。人間とは権威に弱いものなのです、だから会社の上司とか、部活の先輩には逆らえないのも無理ありませんよね。

チルノ:
 この実験では関係性の高くない研究者にも服従してしまうことが証明されたんだから、毎日顔を合わせる権威者だともっと服従率高そうだよね。

東風谷:
 ブラック起業などが蔓延してしまう理由も分かりますよね。

 人間は権威の高い人に従ってしまうからこそ、立場が上にある人間はモラルを高く保つ必要があるのかもしれません。コメントでは「同調圧力みたいな感じか」「いじめが無くならない理由のひとつだろうな」と意見が寄せられました。

 「ミルグラム服従実験」についてノーカットで解説を視聴したい方はぜひ、動画を御覧ください。


ゆっくりと見る心理学実験【服従実験】


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