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高プロは「労働者が政治を舐めたツケ」経営者優位の法案が成立する理由を解説

 安倍政権が、国会に提出した「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」(働き方法案)が、5月31日に衆議院を通過し、参議院で審議中となりました。

 これを受けて、6月4日の『小飼弾のニコ論壇時評』で、プログラマーの小飼弾氏山路達也氏が、この働き方法案の中の「高度プロフェッショナル制度」について、法案成立後の日本はどうなってしまうのか? そもそも、経営者優位の制度が次々と成立しようとするのは、なぜなのか? 労働者側の怠慢と責任について言及しました。

左から小飼弾氏山路達也氏

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“高プロ”のある日本の未来

山路:
 高度プロフェッショナル制度を導入したら、社会にどう影響するでしょうか?

小飼:
 揺り戻しはあると思いますよ。高プロ法案成立しても、「じゃあ、あなたの雇用契約、高プロにしますね」というふうには言えない。勝手に高プロにするというのは、ダメなんですね。

山路:
 一応、労働者の了承がいるんですよね。

小飼:
 その時に、言われた方はどうするか? 実際に過労死の訴訟とか、雇用側に対して不利な判決というのもいっぱい出るようになってきている中、実は、高プロで一番恐れられているのは、会社から「残業しなさい」と言われた時に、蹴れないことになっているんですよね。「労基法が許す範囲で残業して下さい」あるいは、「どこかに転勤して下さい」というのは、現在の判例ではOKなんですよ。

山路:
 コメントで、「年収が1000万円以上ないと高プロになれないんじゃ?」とコメントがありますね。

小飼:
 なんですけれど、法律に「年収1075万以上」とは書いてないんですよ。だからそれは、厚労省の方が決める変数なんですよ。竹中平蔵さんは、「年収400万以上」と言っていますよ。

山路:
 言ってるんですか?(笑)。ただ、ここのところで、ちょっと不思議なんですけれど、1075万円もらっているサラリーマンって、日本の平均的なサラリーマンとしては比較的いい方じゃないですか?

小飼:
 だいたい数%でしょうね。

山路:
 そういう数%の人たちというのは、そんなに会社と交渉能力がないものなんだろうかと。つまりそれくらいもらう人だったら、もっと業務委託みたいな契約に移行してくれとか、自由に働かせてくれという交渉ができないものなんだろうかと。年収1075万で働かせ放題になるというのは。

小飼:
 わざわざフリーランスというものが世の中にあるワケですよね? だから高プロはもうすでにいるんですよ。普通のフリーランスのプロフェッショナルというのがいるんですよ。なんで彼らを差し置いて、雇用契約をゆるくしちゃうの? というのは不思議でしょうがないね。

山路:
 なんで1000万円以上貰っている人がわざわざ、その1000万円を上限にして「働かせ放題」になるみたいなことを受け入れるんだろう? という疑問はありますね。受け入れる人はいるんですかね?

小飼:
 例えば「受け入れない」と言っても、クビにできるかと言ったら、日本の法律ではできない。だけど、窓際に追いやることはいくらでも出来る。無理難題な仕事をさせることにして、断ったら「業務命令を無視したな」と。これはOKなんですよね。

山路:
 なるほど、解雇はできないけれども、そういうことに関しては、いろいろ出来る。

小飼:
 だから、むしろ高プロもやるというのであれば、お金で解雇できるようにしないと。だから蹴った場合には、従業員の人にも一種のゴールデンパラシュートをつけてあげないと、フェアでないだろうと。はっきり言ってフェアでないんですよ。今の政権は、雇用する側の意見は、いっぱい聞いてくれるわけですよ。

外注コストは高くならなければならない

山路:
 ただ、働き方に関して言うんだったら、最近非正規とか正規の格差とかの裁判が起きて、それで格差が違法だと認められるようなことっていうのも、相次いではきてますよね。

小飼:
 というよりも、そもそも全く同じ人を正規の人に頼んだ場合と、非正規の人に頼んだ場合というのは、非正規の人に頼んだ方が高くなければいけない。

山路: 
 それだけの解雇というか、すぐ仕事がなくなるリスクで働いてるわけだから。

小飼:
 そう。ベネフィットがない分、上乗せしなければいけない。正規雇用で人を雇った方が、会社の払う一人頭の労賃は少なくて済む。だけど、会社としては商売があがったりになったとき、すぐに人を手放したい。だから、5割増しくらいのお金を派遣会社に払ってるはずです。なんですけども、派遣会社から派遣されている人の取り分は……。

山路:
 増えてるわけじゃないっていう。会社としては自由に解雇できるんだったら、4割、5割くらい上乗せして払うことは全然やぶさかではないと。

小飼:
 そうだし、実際にそれくらい上乗せして払っているわけですよ。なのに、なんで派遣された人が受け取ってないかといったら、抜かれているわけですね。

山路:
 じゃあ仮に、人材派遣会社のピンはね率が低くて、10%とか20%くらいで、労働者がその分を受け取れるのであれば問題はないですか? 今の日本の正規、非正規の在り方というのは、弾さん的にはどうですか?

小飼:
 こういうのも何ですけれども、ピンはねしただけのベネフィット【※】があるのであれば、それはそれでいいと思うんですよ。例えば派遣される前に、あるいは派遣先から手放された時に、職業教育を施すとか。そういったベネフィットは全然ないんですよね。単に紹介料をガッと取ってるように、僕には見えます。

※ベネフィット
商品などを入手することで得られる本来の利益のこと。

山路:
 知り合いが勤めている会社にも、派遣会社から人材派遣されてくるんですけども、基本的な業務知識とかも何にも教えてもらってなかったりする。それで、「40%も取るのか」みたいな文句を言っていたりしますね。

 コメントで、「派遣も最初は規制で職種が限定された」と。

小飼:
 そうなんですよ。はい。

山路:
 派遣で働いている人は、自分でスキルを上げなければいけない。

小飼:
 そうなんですよね。差っ引かれた後の金で、参考書を買い、職業訓練校に行き、というのは……。

山路:
 この前、知人に相談されたことがあるんですよ。コールセンター、サポートセンターみたいなところで働いてる子なんですけれども、そういうところで業務外の時間を使って、いろいろ仕事のことを覚えろと言われるというんですよね。それっておかしいじゃないですか?

小飼:
 はい、おかしいですね。

山路:
 ただ、それってものすごい不満ってことはわかるんですけど、じゃあどうすればいいのかって言われると、難しくないですか? 会社に、その分を要求しても、なかなか認めてもらえなかったり。

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