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ビッグサンダー・マウンテン横に置いてある“アレ”にはディズニーマニアにもあまり知られていない秘密の物語があった

本当に蒸気で動いている機関車

 ここまでは、映画のセットとしては当たり前の話をしたんですけども、ディズニーランドというのは「映画のセットとして出来ているから面白いよね」「上手く出来てるよね」というだけで済まずに、なんというか、意味不明な本物志向というのがあるんですよ(笑)。僕は、そこも好きなんですけども。

 例えば、ディズニーランドの周りを走っている機関車がありますよね。この機関車を見て、ついつい僕らは「ああ、このピカピカの機関車も、所詮は遊園地にあるものだから、出ている蒸気も“なんちゃって蒸気”で、実は電気で動いてるんだろ?」って思っちゃうんですけども。それは大違いで、こいつ、本当に灯油を焚いて蒸気を沸かして、それで走っているんですよ。

 なので、運転してるキャストの腕前次第で、1周に何分掛かるのか変わるし、停車位置も変わってきちゃうんですよね。本当に窯を焚いて蒸気で動かしてるから、速度が一定しないし、おまけに開園初期は本当に石炭で動かしてたんですよ。

 しばらくは石炭を焚いてたんですけども、2年目か3年目くらいに「これ以上、石炭でやるのは無理だ」ということで、オリエンタルランドという運営会社が、ディズニー側に「日本では石炭は無理です!」と泣きついて、「しょうがない。灯油でもよろしい」と許してもらったんですよ。それでも、本物を走らせてることには違いないんですよね。

ウォルト・ディズニーが惚れ込んだスチームトラクター

岡田:
 あとは、ディズニーのわけのわからない本物志向としては、ビッグサンダー・マウンテンというジェットコースターの近くに何気なく置いてある、変な機械が挙げられます。

 これは“スチームトラクター”といって、石炭を焚いて蒸気で動く、大昔のトラクターなんですね。近くを通る人は「ああ、いい感じの偽物が作ってあるな」と思うだけで通り過ぎちゃうんですけども、これ、実は年代物の本物なんですよ。

 もともと、オリジナルのディズニーランドが、カリフォルニアのアナハイムというところで作られた時、“オレンジカウンティー”というだけあって、その一帯はオレンジ畑ばっかりだったんですね。

 そんなオレンジ畑を持っているオッサンが、「俺のところのオレンジ畑を売ってやるよ」って、ディズニー社に土地を売却したんでけど、その土地売買に行った時に、ウォルト・ディズニーがこのトラクターを見つけたんです。

 ウォルトは乗り物が大好きだから、ものすごい喜んじゃって、「うわー! 蒸気スチームのトラクターがある! 売って、売って!」って言ったんです。だけど、「いや、これだけは売らない」と言われたんです。ウォルトはすごく悔しかったけど、売って貰えなかったんですね。

 時は流れて、ウォルトが死んで、1971年に今度はフロリダにディズニー・ワールド作ることになった時にも、もちろん、この蒸気トラクターを買い取ろうと、ディズニー社は交渉しに行ったんです。

 「あれ、まだあるなら売って?」と、そのオレンジカウンティーのおっさんのところに行ったんですけど、やっぱり「しつこいぞ! 売らない!」というふうに言われました。さらに、その次に、1990年か91年くらいに『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』を作ることになった時、ロバート・ゼメキスが、ルーカスフィルムを通しで、このスチームトラクターの話を聞いたんです。

 「これは、ドクの工場の背景として、ぜひ欲しい! 頼む! 貸してくれ!」と言ったんですけど。またそのおっさんは「貸さない!」というふうに言ったんです。つまり、3回も断られたんですよ。

 さて、東京ディズニーランドが出来るという時に、スタッフが念のために聞きに行ったんですよ。まあ「どうせダメだろう」って思いながら。すると、やっぱりおっさんは「絶対に売らない!」って言ったんですけど。

 この時、隣で聞いていた嫁さんが「いい加減にして! このポンコツ、30年間、うちで1回も使ってないじゃない! もうこんなボロボロのやつは売り飛ばして、私をどこか旅行に連れてってよ!」って、メチャクチャ激怒したんです(笑)。

 旦那は、それでシュンとなっちゃって、その場で売ってくれたという。そんな、いわくつきの車両なんですよ。

 ディズニーランドでは、こういった本物を、わざわざ持ってきて配置しているんです。こんなの、言っちゃえば宣伝効果なんかまったくないんですよ。だって、ビッグサンダー・マウンテンなんて、放っといても人が来るわけですから。

 さらに「ビッグサンダー・マウンテンの山の麓には、本物の蒸気トラクターを置いてありますよ!」なんて言っても、誰も喜ばないし、俺が見ている限り、一般のパリピ向けなディズニー本で、これに触れている書籍は1つもないんですよ(笑)。

 それを手に入れるためにわざわざ4回も交渉して、やっと買って、東京に持ってくるという。この意味のない本物志向が、僕はすごい好きなんです。」

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