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地下アイドルよりも地下 “地底アイドル”の実態を現役アイドルが暴露「オリジナル曲がない、ドン・キホーテの衣装を平気で買う」

「地下アイドルは誰でもなれるけど、志が高いと難しい」

ジョー横溝:
 たまちゃん平成生まれでしょ? 周りの子たちって、どうだった? 僕らなんて完全に昭和の真ん中へんに生まれちゃっているわけだけど。

姫乃:
 私、女子大だったので、周りの子はみんな就職していましたね。高校生のときはすごく仲いい子がたくさんいて、その時の仲良かった子たちはみんな近い業界にいますね。親友の子に未だに仕事をもらったりします。

 制作会社みたいなところにいて、司会の仕事をくれたりとか、結局近い子というのは同じような業界に来るんだなという感じですね。

宮台:
 地下アイドルになれる女の子たちの共通性とかこういうのがないと難しいかなというのはありますか?

姫乃:
 本当に誰でもなれるんですけど、志が高いと難しいかもしれなくて、「私すごくかわいい、人気になってしまうわ」みたいな子がたまに入ってくるんですけど、そういう子ってファンの人が一歩引いちゃうというか、わりと近しい感じの親近感が湧く子のほうが「いいね」となって、応援しなきゃみたいなのがすごく大事なので。

宮台:
 さっきの負の要素がフックになっているということだよね。

姫乃:
 あとは、何月までに何百人動員して、次は武道館でどうのこうのと思うと、できなかった時にすごく心が折れちゃうんですよね。それで「もうダメ、辞める」みたいな。せっかくできる子がそこで辞めちゃうのはもったいないなと思いますね。

ジョー横溝:
 宮台さん、「それ面白いな」と言っていましたけど、何か引っかかりましたか?

宮台:
 さっきも言ったように、やっぱり負の要素でお互いを吸引しあって連帯していく感じというのはすごく平成的だと思うんだよね。例えば『新世紀エヴァンゲリオン』が1995年10月から始まって、ほぼシンクロしてアダルトチルドレン(AC)【※】というブームになるけれども、あれは実は「私もACで」と言うことによって、友達がどんどん増えていくという要素があったんだよね。

※アダルトチルドレン
子ども時代に、親との関係で何らかのトラウマを負ったと考えている成人。

 だから「あぁ負の要素で連帯していくんだ」と。96年ぐらいから顕在化していたのね。あるいはリスカ、自傷系なんですけどというのを言うことによって「私もなんだよ」と言って仲間が増えていくというのがすごく平成的なんだよね。

姫乃:
 あんなに大きい震災が来て、サリン事件で人がパニックになったらもうそっちで繋がるしかないですよね。

小数点単位まで数字が出る時代

ジョー横溝:
 平成の1つの特徴としては、数字がキーワードになったというか、例えばニコ動とかも見終わると閲覧者数とか出るわけですよ。

 昭和に生きていた人間からしてみると、『ザ・ベストテン』とかありましたけど、あれは数字がガチャガチャ出るものの何の点数だかよく分からなかった。最高得点が9999点だったと思うんだけど、あれが何の点数か誰も分からないんですよ。

姫乃:
 あれって、オリコンじゃないんですか?

ジョー横溝:
 オリコンじゃないんですよ。ラジオのチャートとかと言っても別に売上枚数でもどうやらないらしくて、各番組で順位が違ったりしたんですよ。

 平成って、良くも悪くもデジタルが進んだから、小数点単位まで数字が出るようになって、Twitterでフォロワーが何人いるとか、かなり細かい数字まで出るようになっちゃったんで、平成の時代を生きるにあたってみんなに大きく作用しているのかなと思うんです。

姫乃:
 CDなんか本当に売れなくなって、「何万枚売れれば何か変わるの?」と言われると、オリコン1位になっても、どうにもならないという時が来ていて、私とか売れてないから何言っても負け惜しみみたいになっちゃうんですけど、逆に数字ではなくて常にお客さんの前で仕事をしているので。

 例えば5人しか見てなくても100人見ていても何人がすごく衝撃を受けて人生が変わるようなことがもしかしたらあるかもしれないじゃないですか? なんかその衝撃の大きさみたいなのをすごく大事にしたいなと思っています。

 宮台さんに一度アドバイスしていただいたんですけど、「分かっている人だけに向けてやったほうが良いよ」と言っていただいた時に、本当に「そうだな」と思って、今、本当に細分化されすぎていて、数字はあんまり意味ないかなと思っています。売れてないから私が言ってもそりゃそうですよねという感じなんですけど(笑)。

宮台:
 僕たちのような年長者が自分の人生を振り返っても、自分の人生を間違えなく変えたなと思うような、例えば映画とか番組とかミュージシャンとかいるわけですよね。じゃあそれをみんなが見ていたか、ポピュラーつまり人気があったかというと、全然そんなことはない。

 例えば、僕は物書きだけども、世の中にインパクトを与えたいという時に人気が出たいとはまったく思わなくて、それで人生が変わるようなことがあればいいなと思う。

姫乃:
 でも本当にそうですね。大勢に向けていると訳わかんなくなっちゃうので、どれくらい自分が誰も見てなくてもやりたいのか。私はあんまり自分でやりたいことがないので、ファンの人がどれだけ幸せになってくれるかみたいなものが結構大事なので。

宮台:
 でも僕はたまちゃんがやりたいことがないと言うのが、いまいち信じられなくて、いろんなところに書いてあるけど、ネットでWEB連載をしている文章を読むといろんな意味で深くて面白いんですよね。

 いろんなものを洞察しているし、言わば外側にいること、社会の真ん中にいないことをむしろ良しとする価値観が強烈に出ているからね。そういう意味で言えば、やりたいことないと言うけど、すごく価値観がはっきりしているし、その価値観ゆえに社会の真ん中でやりたいことがないという意味かなと受け取れますよね。

 僕に言わせるとこの社会はクズがあふれています。法の奴隷があふれていて、本当の人間って実はいないかもしれないんだよね。そんなのに人気が出たところで、クズに人気があるだけの話なんで、何も嬉しいことないでしょうね。

ジョー横溝:
 本当にいい番組って、ラジオなんかもそうですけど、深夜のひっそりとやっている番組にいい番組があるんですよ。あんまり数字が可視化されてしまうと、そういう番組まで「数字が取れてないからやめちゃえ」という話になるので、あんまりそういうふうにならないでほしいなと思いはありますけどもね。

「平成は男がものすごい勢いでクズ化した」

ジョー横溝:
 メールが届いています。沖縄の男性ですね。「文春でアイドルの自殺が取り上げられていましたが、どう思いますか?」。

姫乃:
 あれは本当に酷いですね。さっき言ったみたいに地下アイドルは過密なスケジュールで頑張ったりしてしまうので、「お金もないし、頑張らなきゃ」とか「頑張らないと有名になれないんじゃないか」みたいな気持ちがあります。

 それを大人が利用するって本当に良くないことだし、今も悩んでいる子がきっといると思うんですけど、地下アイドルの世界はピンからキリまで広いので、そこで無理しないでほしいです。無理せずに活動できるのが地下アイドルの世界なので、何かあったらあんまり近くない周りの人に相談して、地下アイドルの世界でも遠目の世界を見てほしいなと思います。

宮台:
 僕このことについて思うこと言っていい? たまちゃんのこの『職業としての地下アイドル』を読んで、多くの人が思うのは承認されたい、見てもらいたいという、そういうある種の負の要素ゆえの欲望があるんだなということが分かる。

『職業としての地下アイドル』
(画像はAmazonより)

 でも、例えば昭和だったらどうかというと普通に当たり前で、そういう人達は恋愛をして「そんな君が僕は1番好きだったんだよ」と言ってくれて承認されるということがあった。あるいはそういうのが出来る男がそれなりにいたし、「恋愛って良いものだよ」と伝えてくれる女の先輩もいた。

 やっぱり平成というのはまず男がものすごい勢いでクズ化したんですよね。損得のお化けみたいなやつ。例えば、男の子に「どうして恋愛しないの?」と聞くと、「コストパフォーマンスが悪いですよ、だってリスクマネジメントできませんし、そういうのが嫌です」と言う本当のクズですよ。

 だからそういう世の中の真ん中にいたくないなという気持ちも当然のことだけど、僕が思うのは地下アイドル現象というのは、男がクズ化して、「そういう君が好きだったんだよ」という承認の機会を提供してあげられなくなっているから、そこに寄せられていった面というのもあると思うんだよね。だって、「彼氏とラブラブです」という地下アイドルいないでしょ?

姫乃:
 そうですね(笑)。

宮台:
 それは結構大事なことなんだよね。

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