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映画『万引き家族』は是枝作品の集大成。『そして父になる』『誰も知らない』…これまでの作品と連なるテーマを評論家が解説

「明るいが社会の低層にいる家族」を表した花火シーン

中井:
 そして撮影。今までは瀧本幹也さんが結構撮られていたんですけれど、今回は『桐島、部活やめるってよ』『横道世之介』『そこのみにて光輝く』とかの近藤龍人さんですね。

『桐島、部活やめるってよ』。
(画像はAmazonより)

 近藤龍人さんは今、日本の若手の中ではトップだと思うんですけれども、近藤龍人さんが撮影監督を担当しています。是枝さんも、もともとフィルムが好きなんで35ミリで撮っているんですけれど、今回はまず色味ですよね。画面の色味が若干青っぽい。

 これはなぜかと言うと、おそらくこの家族自体が持っている、明るいんだけれど実は社会の低層にいるっていう状況を表現した時に、寒色を入れるっていう。それで青っぽくしている。

 あるショットがありまして、家の庭から花火を見上げるショットがあるんですよ。実はそのシーンは家の近くに高い建物があって平屋だから、花火は見えてないんですよ。音だけ聞くというショットなんですけれど、俯瞰で抜かれているんですね。

 その俯瞰ショットというのは、水の底にいる魚たちっていうショットのようなイメージで撮ってるわけですよね。家族が魚で。だから青みがかったショットというのが効いてきて、這い上がって来られない人たちがメタファーだったりするわけです。

 画が映らないと言うか、見えない花火、音しか聞こえない花火を見ている人たちっていう存在自体が、もう既に彼の置かれてる状況をそのまま説明しているようなショットなんです。

 幸せそうな図であるんだけれども、そこは悲しいんじゃないかっていう非常に重層的な表現をこの映画はしているのかなと僕は思いますね。すごくいろいろ考え抜かれています。

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