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本当はゆるい“カリブの海賊”「トラブルの元になるので女には手を出さない」「襲うのは日用品を積んだ船」

 毎週日曜日、夜8時から生放送中の『岡田斗司夫ゼミ』。5月27日の放送では、NTT出版から発売されている書籍『海賊の経済学 ―見えざるフックの秘密』を題材に、17~18世紀にかけて、ヨーロッパを震え上がらせたカリブの海賊の特集が行われました。

 パーソナリティの岡田斗司夫氏はその中で、一般的なイメージとはひと味違う、カリブの海賊の実態を紹介しました。

岡田斗司夫氏

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イメージとは大きく違うカリブの海賊

岡田:
 僕ら、海賊って一言で言うんだけども、日本にも海賊はいたし、いまだにスマトラ島のマラッカ海峡の辺りにも海賊はいるよね。なので、何のことかわからなくなっちゃうんですけど。

 一応、「お宝をぎっしり積んだ船を襲って、男は殺して女はレイプ!」みたいなイメージがあるじゃないですか? 他にも「何年も海の上を冒険して、陸に上げれば酒と博打と女の乱痴気騒ぎ!」みたいな。

 僕らの持ってる海賊のイメージというのは、大体こんな感じだと思うんですけど。実はこれ、全部違うそうなんですよ。

『海賊の経済学』

 この『海賊の経済学』とか、他の海賊に関する本によれば、まず、「お宝をぎっしり積んだ輸送船ばかりを襲っていた」わけじゃないそうです。海賊が襲ったのは、ほとんどが小麦とか糸とか布とか食料品とか日用品とかを積んだ船だったそうなんですよね。

 次に、「海賊は襲った船の男を殺す」というのも違う。正しくは「その場で海賊にリクルートする」というのが普通なんだそうです。なぜかというと、他の船の襲撃に成功した場合、“その船自体”が一番の財産だから。乗組員を殺したりすると、奪ったその船を誰が動かすんだよ、という話になっちゃう。なので、基本的には船を襲ったら、その乗組員はリクルートするというのが当たり前だったそうです。

 さらには、襲った船に女の人が乗っていた場合でも、トラブルの元になるので手を出さない場合が多かったそうです。

 海賊に限らず、当時の人は、すごく迷信深いというか。そもそも、海賊行為を始める原因自体が、イスラム教とかキリスト教の宗教戦争だった場合が多いそうなんですよね。さらに、船に乗る人は特に迷信深くなる傾向もあるので、「女はレイプ」みたいなイメージというのも、案外そうじゃなかったと書いてあります。

 あと、これも僕らが持っているイメージなんだけど、「何年も海の上を冒険する」というのも違う。ほとんどの海賊というのは、海の上にいるのはせいぜい数週間くらいで、ちょっと沖に出て海賊行為をして、すぐに帰って来るということばっかりだったそうです。

 まあ、全部、言われてみりゃあ当たり前なんだけど。

海賊の乱痴気騒ぎは長い船上生活によるものだった

 だけど、最後の「陸に上がれば酒と博打と女の乱痴気騒ぎ」というのだけは、まあ、正しいんですよ。だけど、これに関しては仕方がないんですよね。

 なぜかというと、まず、酒については、船上での生活が長く続くと、誰でも重度のアルコール中毒になってしまったからなんです。

 というのも、陸から船出する時に、飲料用の水を汲むんだけど、水というのは、船を出してだいたい数日くらいで悪くなって、最終的には“緑色のドロドロしたもの”に変わってしまうから、飲めなくなるんですよ。

 だから、船の上では、飲み物の選択肢が「弱い酒か、強い酒か」くらいしかない。そうやって、毎日、酒ばっかり飲んでるもんだから、全員アル中になっちゃうんですよ。だから、この酒に関してはしょうがない。

 次に、博打三昧について。これも、“陸でしか出来ないこと”だったから、仕方がなかったんですよね。

 ほとんどの海賊船の中では、お金をかけた博打というのは禁止されていたそうなんですよ。なぜって、喧嘩の元になるからです。喧嘩が起これば船が破損したり、火事が起こる確率が増える。なので、博打をやるにしても、お金を賭けずに「明日の掃除を誰がするか?」みたいなこと以外は、ほとんどの船で禁止されていたそうです。

 そして、女についても、当時の船というのには、基本的に女がいないから仕方ないということですね。

 そういったわけで、「陸に上がれば酒と博打と女の乱痴気騒ぎ」というのは、いささか仕方がないところがあります。本当に遠洋漁業と変わらないよね。

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